セール最終日

 本日は朝から雨となりです。こちらの大型連休後半は、ほんとお天気がよろしくなし
で、桜も見頃をむかえ、行楽客が来ることを待ち望んでいた人たちには、お気の毒な
この連休となりました。
 ぱっとしないお天気が続きますと、ショッピングモールなどが混み合いますが、同様
ブックオフなども客が多くなるようです。この3日から6日にかけて、ブックオフでは
二割引きセールというのを実施していまして、この機会を利用しない手はないなと、最
終日となる本日に足を運びました。
 ここのところ、先日に「ちくま」5月号で目にしました結城昌治さんの小説が気に
なっていまして、本日の「ブックオフ」では、何か結城昌治さんの手頃なものがないか
と探すことにしました。
 これが大正解でありまして、「ちくま」に池上冬樹さんが書いていた「ちくま文庫
結城昌治のミステリが出るとは思わなかった。それも『あるフィルムの背景』が。」
がどんぴしゃで見つかりました。これはラッキーなこと。

 このほかにも結城さんの講談社文芸文庫版「終着駅」という作品がありまして、結城
さんには文芸文庫にはいったものがあったことを初めて知りました。
終着駅 (中公文庫)

終着駅 (中公文庫)

 そういえば、結城昌治さんのことが気になったのは、「ちくま」での池上さんが、篠
田一士さんが結城さんを愛読していたとあったからでした。
 そんなわけで、本日外出から戻って、篠田一士さんの著作をあたってみることとしま
した。まずは可能性のありそうなものからです。篠田さんの毎日新聞文芸時評をまとめ
た「創造の現場から」(小沢書店 1988年7月刊 )をとってきました。この本は後ろに
索引がありまして、これがありがたい。こういう本は頭からずっと読むものではないの
で、索引がなければ資料としては使えないことです。
 それで索引で調べますと、「結城昌治 終着駅 370ページ」とあるではないですか。
なんと、本日に手にしてから文芸文庫は高いからと戻した「終着駅」を、篠田さんは時
評でとりあげていました。ブックオフに行く前に、この時評に目を通しておくのでした。
 そこで篠田さんは、どう書いているかというと、「技巧の華やかさと裏腹に、暗い小
説、あまりにも暗すぎる。」であります。いまは暗い小説は、いいかなと思うことで。
ちなみに、篠田さんの時代の文芸時評は、文芸誌に掲載のものをいち早くとりあげて評
するのですが、この「終着駅」にまとまる作品群は、中央公論社からでていた「海」に
1983年5月号から翌年にかけて連載されたものですが、先日に届いた編集工房ノア
「海鳴り」30号に掲載の山田稔さんの文章は、富士正晴さんの小説が連載された「海」
をめぐってのものでありました。
 富士正晴から結城昌治まで、当時の「海」は、ずいぶんと間口が広かったことでありま
す。