来月の新刊から

 三月も残りが少なくなってきました。
 組織で働いていたときには、三月末で退職の人がいて、四月には新人を迎えると
いうのが毎年のことでありました。自分が仕事を完全にやめることで、こうした
ルーチンから抜けることができました。このところの新聞には新年度の人事異動な
どが掲載されていますが、退職して数年で会社の人事には、関心がなくなることで
あります。(それにかわって、注目して見ているのは訃報欄でありまして、こちらの
ほうが身近になるというのはいかがなものか。)
 それはさて、四月にでる本で注目のものです。
一冊はみすず書房から送っていただいた「パブリッシャーズ・レビュー」に掲載され
ていたものとなります。

 戦後を代表する編集者のお一人 小尾俊人さんについて、旧知の宮田昇さんが書か
れたものとなります。その一部は「みすず」に連載されていました。
 著者の宮田昇さんは、翻訳権を仲介する「日本ユニ・エージェンシー」の代表をつ
とめられた方で、その関係の著作も残されていますが、月刊「みすず」に長く「朱筆」
というコラムを連載されていました。(当時の筆名 出版太郎となります。)
 「パブリッシャーズ・レビュー」には、宮田さんと小尾さんの交流について、次の
ようにあります。
「毎月、まだ社員の出社しない早朝に来社し、朝の早い小尾と多くの話をした。」
お二人が深い信頼関係でつながっていたということがわかります。
 今回の「小尾俊人の戦後」は、次のような内容になるとのことです。
「 第一章 小尾のルーツを訪ねる諏訪紀行
  第二章 会社の立ち上げ準備から『夜と霧』まで
  第三章 小尾と宮田の付き合いと思い出から、等身大の小尾を描く、
  付録として、小尾が唯一残した『1951年の日記』と、雑誌『みすず』創刊以降三
  年余り執筆した『編集後記』を収める。」
 この本が刊行までには、まだ一ヶ月ほどあるのですが、これは楽しみなことです。