近所のTSUTAYA

 当方の住まいから一番近くで書籍を販売しているのは「TSUTAYA」であります。
今から二十年近くも前に開業したのですが、書籍棚のほうは最初のころこそ、すこし
見られましたが、どんどんと後退してしまって、最近では文庫本でさえ買う物がな
いという有り様でありました。
 一番最近にこの店で購入したのは鉄道時刻表でありまして、これはなんとか入荷す
るのでした。先々週くらいに時刻表を求めましょうと、この「TSUTAYA」に足を運び
ましたところ、開店以来の大改装で店はお休みをしていました。近日オープンという
告知がされていたのですが、どうせたいしたことはないだろうと思って出向くことも
なしでおりました。
 昨日になって、やっと時刻表を購入のために店を訪ねたのですが、これまでとは
棚のレイアウトも変わっていて、おおこれはどうしたという感じでありました。
 これまでがあまりにもひどかったので、すこしはましになったろうかと思って棚を
みておりましたら、どうしたわけか思想関係のところだけが、えらく充実であります。
岩波文庫でありましたら青帯のイスラム思想関係のものが井筒俊彦さんの関連書籍で
並べられているという具合です。そこだけ見たら、ものすごい密度の濃さであるので
すが、この並べ方であれば、思想関係だけでワンフロアは必要だなと思いましたら、
イロハのイの字のさわりのところだけをならべておしまいとなっていました。
 だれだ、こんな棚を作ったのはと、こちらはあきれてしまったのでありますが、
どこかの蔦谷書店の思想書棚の三列分くらい切り取ってならべてみたというような
もので、これは期待できないなというよりも、「ばっかじゃなかろうか」(これは
多部未華子さんの声色で)であります。
 なんとなくばかにされたような気分になり、時刻表679円(税込)を購入して、店
を後にしたのですが、文芸書新刊も文庫も、この思想書棚のような冒険的なもので
はなく、これでここに一冊でも気の利いたものがあれば、ここまで頭に血は上らな
かったかもしれませんですね。
 「TSUTAYA」のフランチャイズ店には、本屋の店員さんはいなくて、CCCのスーパ
ーバイザーさんもまた本のことをわかっている人がいないというのが、臆面もなく
このような棚をつくるのでしょうね。
 「TSUTAYA」というか「CCC」による図書館の是非が問われるケースが発生している
ようですが、本のことをまるでわかっていないという事態に接すると、これもいたっ
て当然のように思えることです。