「身軽に暮らす」か

 家人が定期購読している雑誌「明日の友」の特集は「身軽に暮らす すっきり

のルール」というものです。

 年齢を重ねてきて片付け、整理や処分についてのことが書かれているのですが、

「仕事や趣味の物」というところに86歳の女性が、次のように書いています。

「亡き夫の趣味の鉄道模型、カメラ、電動工具、楽器などは古道具屋に。

囲碁の本、膨大な楽譜は古書店へ。SP・LPレコード、CDなどはほしい人や施設の

方が引き取ってくださいました。」

 おいくつに亡くなったのかはわかりませんが、ずいぶんと多趣味な方であるよう

で、相当にお金をつっこんでいたように思えることです。この方のコレクションの

写真を見てみたいと思いましたが、それはなしでありました。

 コレクションの写真が掲載されていたのは、編集部Hさんが「家の本、片付けま

した」ということで、亡き祖父の遺した本に向き合う話に関してでありました。

「”本の海”と向き合ったのは昨年のこと。亡き祖父母宅の改築のため『家中を空っ

ぽに』を計画したときでした。新聞記者で文学研究もしていた祖父。各種全集など

家全体に広がる本の海は棚や机の上はもちろん押入れにまで広がっていました。」

 ということで、Hさんの祖父の書棚の一部が表示されるのですが、これにならん

でいる本から、この方の関心を寄せているジャンルがわかるだろうかと、虫眼鏡を

使って書棚写真を見ることになりです。

 書棚に並んでいる本で一番新しいのは佐藤正午さんの「永遠の二分の一」であり

そうですから、これは1984年1月刊でして、この頃はまだ活動をされていたの

でしょう。その頃においくつくらいであったのかな。なんとなく1910年代前半

くらいのお生まれではと推測です。

 写った書棚には谷崎全集、川端全集、安吾全集などが見えるのですが、今官一

全集というのが珍しくで、これがその手がかりかなと思うと、そのとなりには斎藤

茂吉関係があって、うーむなかなか手強いこと。

 そういえば、以前に「本の雑誌」で書棚から、この本の持ち主を推理しようとい

う企画があったことを思いだしました。

 ちなみに、この編集部Hさんは祖父の本を、とりあえず書庫サービスいう預かり

会社に保管を依頼することにしたのだそうです。そこそこお金がかかるので、なか

なかこれはできそうもありませんですね。