最近手にした本 5

 加藤静允(かとうきよのぶ)さんという名を知ったのは、湯川書房の刊行目録を
眼にしたのことです。この名前を読むこともできず、いったいどういう人であるの
かと思ったものです。
 この方が京都の小児科医であると知ったのは、何年かたってからでありました。
たぶん、NHKの新日曜美術館かなにかで取り上げられたのをみたのでありましょ
う。一芸に秀でるということがありますが、この方はスーパーマルチな人でありま
して、究極のアマチュアであります。
 この方のことは、今はなき「銀花」139号 2004年が特集をしていました。

この特集のタイトルは「京都・加藤静允の遊々楽々 ドクトル細石 本日休診」と
いうものです。「ドクトル細石」の「細石」というのは、「中学生時代、井伏鱒二
さんにつけてもらった釣師の号」なのだそうです。
 「銀花」にある細石先生の紹介文です、
「名人と評判高い泥遊び、水茎の跡麗しく筆遊び、刀剣の目利きにかけては追随を
許さず、釣りは三つ児からの水遊び。京都洛北・修学院に書斎を訪ねてみれば、その
幅の広さ、豊かさ、味わい深さに舌を巻くばかり。けれど遊民にあらず本職は小児科
医。診療後や休診日、心おもむくまま遊びに没頭する。ああうれし楽し、と。」
 この特集では、細石先生の「泥遊び、筆遊び、水遊び」の名人ぶりが取り上げられ
ているのですが、湯川書房での刊本にまとめられた仕事などのオリジナルをみるこ
とができました。