今年も山猫忌 2

 長谷川四郎さんは、年を重ねるに従って前衛的になってきまして、当方はどちらか
というと前衛的なものは弱くて、晩年の作品は不得意であります。
 晩年には自伝的な内容の小生がありまして、こちらは大好きなのですが、これは四郎
さんの目指す方向ではないですね。なんといっても、「文学というのは、新と旧のたた
かいだもの」であります。
 年齢を重ねて、自己模倣に陥らないようにするというのは、大変なことでありまして、
シュールな作品を発表し続けるというのは老化との戦いでもあります。
 長谷川さんが75年に「のびのび」という教育雑誌に発表した「アラフラの女王」を
原作とした絵本が、85年3月に福音館から「こどものとも348号」として刊行され
ました。
 文章は高橋悠治、絵は柳生弦一郎さんでありますが、柳生さんが長谷川四郎さんの
ファンであることから実現したものですが、高橋悠治さんは、この作品について、
「三人でつくった絵本」といっています。

 この表紙のシュールさは、四郎さんの世界らしく思いますね。