最近買った本 5

 出版業界で年末進行といえば、正月休みであちこちの仕事が滞ることを見越して二月分
の月刊誌などを11月くらいに同時並行して製作することでありますが、こちらはいまが
年度末進行であります。二ヶ月分の雑誌を編集したりしているわけではありませんが、
年度末の始末と新年度の準備、そうして退職と採用と異動の時期であります。いまだに仕
事をしていますと、どうしてもそういう流れにまきこまれてしまいます。
 というのは、ただでもぱっとしない拙ブログが、特に低調であることのいいわけであり
ました。
 さて、昨日に「小西康陽さんの本のあとがきは、札幌北地蔵で書かれたと紹介しました
が、この店のことは、小西さんの「これは恋ではない」(幻冬舎刊)収録の「私信札幌ガ
イド」を話題にしたとき引用しておりました。
 http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20080425
( 何度も書きますが「これは恋ではない」は、新しい天体であります。)
 「ディスクガイド200枚」のあちこちに、小西さんらしさはありますが、そのなかで、
「これは恋ではない」にも取り上げられているアルバムのことをご紹介。
「これは恋ではない」では、次のようにはじまります。
「 美しい女の子とデューク・エリントンの音楽の他は何も要らないーとか何とか言った
 のはボリス・ヴィアンだっけ。気の利いたコトを言う人だと思う。
  けれども美しい女の子が美しい声で歌うなら、エリントンじゃなくてもOKだ。
 歌なんか上手くなくて構わない。恋はリズムに乗せて。思わせぶりに囁いてくれるだけ
 でいい。・・・
 『女性上位時代』は確実にやってくる。くすぐったいような世紀末の始まりだ。」
 こういう前文をうけて女の子たちが歌う映画を紹介するのですが、そのトップにおかれ
たのが、なんと次のものでした。
「『ロシェフォールの恋人たち』フランソワーズ・ドルレアックカトリーヌ・ドヌーブ
の美人姉妹ミュージカル。音楽はルグラン。笑う六十年代」
 この映画の評価はどうなのだろう。当方は、この映画を大学の時に見にいきました。
ルグランのこの種の映画としては「シェルブールの雨傘」のほうがずっと有名であります
が、こちらは見ていなくて、「ロシェフォール」のほうを先に見ていたのでした。これは
どう考えても、当方は赤毛のドルレアックのほうに惹かれていたのでしょう。
普通であればドヌーブとドルレアックと書くのでしょうが、姉のドルレアックを先に記す
るのも嬉しいことです。
 先月でしたか、夕張でありました映画祭で、この作品が上映されたとありました。
 http://yubarifanta.com/index_pc.php?ct=films.php&langue=21010 
 普通の紹介は、上のリンクのごとくでありまして、これをみるとドルレアックにもすこ
し言及すれよといいたくなりますね。
 「ディスクガイド200枚」は、音楽に焦点があたっていますので、ルグランは「華麗な
る賭」と「ロシェフォールの恋人たち」のオリジナルサウンドトラックがあがっていまし
た。
「もはや誰もが認めるこの傑作について、ふたつのことを書き添えておく。ひとつはこの
作品の録音技術、そしてミキシングの見事なことについて。
絢爛たるオーケストレイションを漏らさず録音することは大前提として、次々と登場する
楽器群、そしてボーカルとコーラスにひとつずつスポットライトを当てていくミキシング
術だけでも、この音楽は別格である。・・
 もうひとつ書いておきたいのは、監督ジャック・デュミのミュージカル映画への愛、
そしてミシェル・ルグランの才能に対する愛と信頼のことだ。・・なおリマスター完全
版はお薦めしない。ご注意。」
 この作品については、映画館で一度きりしか見ていませんし、もう40年も昔のこと
ですからほとんど忘れているのですが、こういう風に見ていた人がいたとはね。