年頭所感

 仕事について38年ほどになりますが、本日ははじめて仕事にでることとなりました。
今では元旦から大型店が開いたりしていますので、仕事をしている人は珍しくない
のでありますが、自分が元旦に仕事をすることになるとは思っておりませんでした。
 元旦に仕事でありますので、これは普段とはちょっと違って晴れの日です。それで、
これまたはじめて和服を着用して仕事場へ行きました。なんとなんと、還暦となって
いろいろと初めて体験することがあることです。
 「年頭所感」というのは、当方が感じたことではなくて、阪田寛夫さんの詩の題で
あります。
 「年頭所感」 阪田寛夫 
 年の始めの例(ためし)とてラジオ犬(けん)の顔を見たいが
 残念、去年の秋に死んでいる 享年十二歳

 「年頭所感について」
 名前を知らないから勝手に
 ラジオ犬(けん)と呼んできた老ハスキーが
 去年の秋死んだ、享年十二歳
 年の初めの例(ためし)とて主なき小屋を訪ねてみた
 一頃道端の犬小屋に花を供える人後を絶たず
 貼紙の飼主礼状で本名も「仁」と知った
 終日ラジオに聴き入ってた穏やかな犬
 悪い物を誰かに食べさせられてと
 お詣りにきた犬連れの奥さんが囁いたが
 悪いニュースに当たって死んだのではないか
 仁なる哉、人間より先に真白な心を痛め
 先立って苦しみ呻いた(うめいた)犬よ
 神様 世界中の「仁」のために今年こそ
 静かな年にしてください