小沢信男著作 186

 小沢信男さんの「あの人と歩く東京」の最後におかれているのは、「掌篇・大塚少年」
という作品です。わずか4ページにもみたないものですから、ショートショートといって
もよろしいのでしょうか。タウン誌「うえの」91年10月号が初出となります。
 1988年に発生した巣鴨子供置き去り事件を題材としていますが、この事件が、今も
記憶されているとすれば、それはこれが「誰も知らない」という映画作品になったから
であります。2004年のことですが、この作品は外国映画祭で賞を受けました。
 柳楽優弥さんという役者さんが主演したのですが、この方の演技も話題となった
ようです。
 この作品が、小沢さんが発表した小説の最後でしょうか。どこか、目のつきにくい
ところに発表している可能性はありますが、単行本に収録されたのは、これが最後の
ようです。