小沢信男著作 126

 小沢信男さんが2003年にあった「新日本文学会」最後の総会の結語部分で、野呂
重雄さんの『もろともにかがやく宇宙の塵』というエッセイ集が紹介されます。
 この本は、小沢さんが「わたしの好きな田村義也装丁本」の一冊にあげているものです。

もろともにかがやく宇宙の塵 (1977年)

もろともにかがやく宇宙の塵 (1977年)

 このエッセイ集の巻頭を飾るのが「ベトナム最後の砲弾」という作品です。
この作品は、長谷川四郎さんが責任編集された「自由時間」創刊号 75年11月刊に寄稿
されたものですが、ほとんど原稿用紙三枚という小品です。
初出掲載時は見開き2ページにおさめられていますが、すぐに読めそうな感じのする
ものです。

 この小品を読み解くために、小沢さんは原稿用紙16枚を費やしています。
「タマシイより愛をこめて 野呂重雄『ベトナム最後の砲弾」を読む」の書き出しは、
次のとおりです。
「長い長い戦争の終わり、その劇的瞬間からこの作品は始まります。」