長谷川りん二郎展 3

 長谷川りん二郎さんの展覧会というのは、これまでも何度か行われているようですが、
このようにおおがかりなものは、もちろん今回が初めてでしょう。作品で有名なものは
宮城県立美術館の洲之内コレクションにあって、今回の図録の表紙にもなっている代表作
の「猫」は、その一つです。収蔵作品数で多いのは、たぶん生まれ故郷にある「北海道立
函館美術館」でしょう。個人で作品を多く収蔵しているのは、岩崎美術社からの画集に
作品を提供している「岩井コレクション」でしょう。いまはどちらで保存しているのかと
思いますが、このコレクションも収集したご主人はお亡くなりになったようです。
 コレクターの岩井さんは、耳鼻科のお医者さんであったとのことですが、この先生が
長谷川りん二郎さんの作品をコレクションするようになったのは、岩井さんの秘書が
長谷川さんの姪であったためとありました。
 岩井さんが長谷川さんの姪を通じて4号の薔薇の絵を頼んで、できあがってきたのは
二年後とのことです。岩崎美術社の本にある掲載一覧によると岩井コレクションで、
時代があいそうな「薔薇」の絵は66年に制作となってものですが、これが岩井さんに
とっての最初の長谷川りん二郎作品でしょうか。
 岩井さんの秘書をしていた長谷川さんの姪というのは、りん二郎さんの姪でしょうか、
それとも奥様の姪にあたる人でしょうか。長谷川海太郎、りん二郎、しゅん、四郎の
兄弟で、娘がいるというのは、しゅんさんだけですので、そうなると、年齢的に可能性
があるのは、45年(昭和20年)生まれ、しゅんさんの三女がいちばんそれらしいのです
が、りん二郎夫人のほうの姪であれば、まったく違った話しとなります。