1月23日の仕事帰りに、いきつけのブックオフに立ち寄りましたら、いつもは
半額の単行本が、500円均一とありましたので、気になっていた何冊かを確保
したのであります。そのなかに、村松友視「ヤスケンの海」がありました。
村松友視が、中央公論社で同僚となった編集者「安原顕」の死後に、安原について
記した書き下ろしの評伝とあります。
- 作者: 村松友視
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2003/05
- メディア: 単行本
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きていました。
ぱらぱらとページをめくって、中央公論社という名門出版社に紛れ込んだ村松友視と
安原顕のトリックスターぶりに眉をひそめてしまいました。同じ大きな出版社であって
も、嵐山光三郎の描く「平凡社」でありましたら、上司にも変人がたくさん巣くって
いたようですが、中央公論社には、そこまではちゃめちゃな上司はいなかったようで
あります。これは嶋中家と下中家の家風の違いであるのでしょうか。
中央公論社の会社のごたごたについては書いている人がいるのでしょうが、まと
まったものではどのようなものがあるのでしょう。中央公論社には、のちに小説家や
批評家となる人をたくさん抱えていたのに、なぜか会社はどんどん経営がうまく
いかなくなって、いまでは別な会社となっています。
ヤスケンさんは、中央公論社に在籍していたときの上司となる編集者について、
ぼろくそに書いているのでありますが、ヤスケンさんについて上司が書いているもの
なども見てみたいと思うのであります。上司からすれば、ほとんどいわれっぱなしで
ありますからね。たしか宮田毬栄さんかが、その著書でちょっと書いていたように
思います。
ぼろくそにいわれる上司でありますが、上の立場からするといろいろと言い分も
あるだろうと組織にどっぷりとつかっている小生は、複雑な気分で読むのでありました。
この「ヤスケンの海」を見て、安原顕が2003年1月20日に亡くなったことを
知りました。