当方のところには中公文庫はどのくらいあるのだろうかです。あちこちにばらばらと
なっていて、すぐに確認できるものは、いくらもありません。
中公文庫の最初のラインナップには庄司薫の代表作「赤頭巾ちゃん気をつけて」が
あるのですが、この作品が新潮文庫から刊行となった時には、本当に驚きました。
一番新しい中公文庫解説目録(2013年4月)を見ましたら、かろうじてこの作品は目録
に残っていまして、この40年間、目録から一度も姿を消すことなく生き残っているの
ではないでしょうか。
ちょうど1988年3月の中公文庫解説目録もでてきたものですから、この二冊を見なが
ら話題をすすめましょう。どうしても昔は良かったというような話になりがちでありま
して、それでは團菊じじいのようになってしまいます。それは避けなくてはいけません
ですね。
1988年版にあって、2013年版になく、特に残念なもの。
・ 林達夫の著作
林達夫は、中央公論社の編集顧問のような役割をしていて、そのあと平凡社で百科
事典編集長となるのですから、中央公論社には林達夫の薫陶を受けた編集者が育って
いたわけです。林達夫の著作は、平凡社で著作集がでるまでは筑摩叢書の「歴史の暮方」
くらいしかありませんでした。著作集は、ジャンル別に再編集されたものとなりますが、
これを最初に刊行された単行本の内容で文庫化というのが、中公文庫の方針であります。
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はたいへん有名なものであります。
庄司さんの解説から最後のくだりを引用。
「最後に私事にわたるけれど、1969年の四月、ぼくが十年ぶりに『赤頭巾ちゃん気を
つけて』という小説をペンネームで発表した時、これを誰よりも早くまっさきに評価
して下さったのが林さんだった。雑誌が発行されたのとほとんど入れちがいに、ぼくは
中央公論編集部からのはずんだ声の電話を受けとった。」
このあとには、林さんの電話の内容がでてくるのですが、林さんはこの作品を「した
たかな傑作」と絶賛したとのことです。
他には、以下のものがありますが、これは明日に続きます。
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