旅の空から

 本日の夜の便で、ピーチな旅であります。今回の旅の友は谷崎潤一郎細雪」です。
先月の天神さんの古本市で購入した新書版全集(中央公論社)の三分冊のうちの二冊を
持参しました。
過去には新書サイズの全集ものというのは、かってはけっこうあったように思います。
思いつくだけでも、石川淳魯迅そして漱石などが岩波からでていました。いまは文庫
版の全集というのに姿をかえていますが、文庫よりも新書のほうが省スペースである
ようです。
 この新書版全集は、以前にもすこし触れましたが二段組で、活字がぎっしりと詰まっ
ていまして、そのうえ旧字旧かなでして、時代の雰囲気が横溢であります。
 ちょうど、この新書版全集の「細雪」がでたころに、この作品が映画化されたようで、
全集の帯には「大映映画化」とあって、姉妹に扮した女優さんの写真が掲載されていま
した。これはこの作品の二回目の映画化となりますが、四姉妹は轟由起子京マチ子
山本富士子、叶順子とあります。映画全盛期の作品ですから、相当にお金をかけていた
のでしょう。この時代に、京マチ子山本富士子といってもなんの感慨もおきません
が。