女性の編集者 4

「女性の編集者」といっても、「栄養と料理」とか「暮しの手帖」ではなく、文芸誌の話
であります。先日の朝日新聞読書欄には岸朝子さんが紹介されていましたが、この方は
30代になってから雑誌記者となり、その後「栄養と料理」に転じて、編集長を務め、
79年独立後は料理専門の編集プロダクションを設立したとありました。
 こうした独立して編集プロを設立したというのが、女性としては画期的なことでありま
して、そういうことからは、女性編集者の先駆けのお一人といえるでしょう。(坂本一亀
さんが構想社をおこしたのが、76年とのことですから、時期的にも重なることです。)
 中央公論社には「婦人公論」という雑誌があったことから、ここにも著名な女性編集者
がいらっしゃいました。どちらかというと文芸畑というよりも中央公論主流を歩むような
女性であったかと思いますが、この方は最後には役員になったのではないでしょうか。
この方(三枝佐枝子さん)は、「女性編集者」なる本を刊行していますが、これは未読で
あります。

女性編集者 (1967年)

女性編集者 (1967年)

 中央公論社には、三枝さんと対極の存在であるような中村智子さんという編集者の方も
いらっしゃいましたが、この方の著作では「風流夢譚事件以後」というのがありまして、
これは「編集者の自分史」と副題になっていますが、内容は作品の掲載をめぐって事件に
発展したこと経緯について、内部から批判をこめて著作としたもので、極めて堅い内容と
なっています。
『風流夢譚』事件以後―編集者の自分史 (1976年)

『風流夢譚』事件以後―編集者の自分史 (1976年)

 三枝さんとか、中村さんという女性編集者は中央公論社らしい感じがしますが、文芸畑
ということになりますと宮田毬栄さんでしょうか。このかたには、「追憶の作家たち」と
いう著作がありますが、スーパーエディター安原顕さんからはめちゃめちゃにこきおろさ
れているのですから、汚名返上のために、もうすこし文章を発表してもいいのにです。
http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20090405
追憶の作家たち (文春新書)

追憶の作家たち (文春新書)