一冊の本から2

 昨日に続いて朝日新聞出版「一冊の本」2月号からの話題です。重金敦之さんと
いう文芸ジャーナリストという方は、小生にはなじみがなく、この連載でしか知らない
と思って、検索をかけましたら、かって朝日新聞の記者であったとありました。
週刊朝日の編集部にいたようでありまして、その後「食」についてのエッセイなどを
書いて著作もおもちの方でした。
 今月の「装丁家の仕事」という文章は、田村義也さんの「のの字ものがたち」の紹介
からはじまるものでありますが、これは朝日新聞からでたものであるので、ひょっと
して担当編集者であるかと、まえがきを見てみましたが、これは違う方が担当でありま
した。
 昨日の安岡章太郎さんと田村義也さんの交流からうまれる装丁は、相互の深い信頼
関係から生み出されるもので、他の著者からはうらやましい限りでありますが、むしろ
そのような関係は例外的であるようです。
重金さんがうらみをはらすかのように、次のように書いています。
「 カバーは文字だけでなりたつわけではなく、絵や写真などのイラストレーション
との調和が要求される。一度拙著の装丁でさる有名画家から装画をいただいたのに、
装丁家が勝手に下手な字を描いて絵を台無しにされたことがあった。今でもその本は
あまり見たくないし、みると怒りがこみあげてくる。
 これは、編集者と著者のコミュニケーションが不足していたわけで、著者にも一端の
責めはある。装丁の仕事は編集者の『楽しみな仕事』という一面もあるから、初めて
仕事をする編集者に遠慮して任せたのが敗因だった。こちらから装丁についての
コンセプトを編集者や装丁家に説明し、意図を主張すれば失敗は避けられたという
ことだろう。しかし、そこを差配して調整し、納得のいく作品をしあげるのが
プロデューサーである編集者の役割で、きわめて重要な仕事であるはずだ。」
 このようにいわれている本というのはなにかと、逆に興味がわきます。
 検索をかけてみましたら、そのような本がありましたが、有名画家らしい絵と、
それにかぶる下記文字ふうのタイトルで、これに違いないと思い込んだのですが、これ
また違いましたら、ごめんなさいであります。

銀座八丁舌の寄り道

銀座八丁舌の寄り道