湯川書房「蔵書票」

vzf125762008-10-19

 季刊「湯川」の巻末には、湯川書房の刊行案内が掲載されて
いるのですが、刊行案内と記してある頁には、湯川書房の蔵書票が
大きくあしらわれています。これは、山本六三さんによる銅版画で
ありまして、このスタイルはNo.5まで引き継がれました。
No.6からは、この蔵書票は省略されています。
 特に贅沢なのは、VOL.1とある第1号でして、これの刊行案内は、
コート紙に二色刷りで、壽岳文章「和紙落葉抄」、加藤周一「薔薇譜」、
秦恒平「墨牡丹」の三冊は、一頁が割り当てられているのでした。
 この蔵書票の作者 山本六三さんという方は、戸田勝久さんの先生に
あたる人とのことですが、銅版画らしい緻密な作品で、細かいところまで
描かれていて、あらためてじっくりとみますと、あちこちに仕掛けが
あるようにも思います。
 本を土壌にして、そこから樹木(幹は女性であります)が成長して、
実をつけるように本がまた生まれる。というものでしょうか。足にからみ
ついているのは、蛇ですし、実となっている本のページをめくっている鳥は、
鳩ではなく、海鳥のようにも見えます。
 ここに引用した画像では、小さくてはっきりとしませんが、この蔵書票を
みていると、あれこれと想像したくなるものです。