湯川書房 湯川成一の仕事2

林哲夫さんが編集する「SPIN」04号の「湯川成一さんに捧ぐ」は、湯川さんが
亡くなったことをきっかけ組まれた特集でありました。
(「SPIN 04号」は、08年9月30日刊 )
 その特集には、次のような文章等が掲載されています。
 ・ はじめから限定本 湯川成一さんインタビュー 「SUMUS」の再録
 ・ 湯川成一さんの思い出        山本善行
 ・ 湯川さん              戸田勝久
 ・ 湯川さんと私            福永幸弘
 ・ 湯川書房限定本刊行目録( 未刊 )    
    作成編集 伊東康雄 岡田泰三 戸田勝久 記録 福永幸弘  
 この特集は、巻頭の32ページを占めておりまして、そのうち10ページほどは
限定本の刊行目録でした。この特集の一番の売りでありまして、資料としても価値
あるものでした。湯川書房の限定本の入手を目指す愛書家には、貴重な情報提供と
なりました。(その一部は、拙ブログに情報提供があり、いち早くに公開するとい。
身に余る光栄に浴しました。)
 小生にとっての湯川書房の刊本は、限定本以外の一般書でありましたが、この
一般書刊行に手を染めたことで、さらなる苦労を背負い込むことになったとありま
した。
「 限定本じゃなくて、いわゆる書店に流すような単行本をやろうということに
なった。賛同者が出資してくれて、株式会社にして単行本を作ったわけですが、
それがとても大変なことでね。僕なんか商才も営業力もない人間がそんなことを
やってうまくいくはずがない。見る見るうちに赤字が増えていくでしょ。・・・ 
 僕の場合は、ちっとも出版したいなんて思っていない。本を一つの形に作れば、
流通しようがしまいがかまわない、極端にいえばね、そんな感じなんですよ。
 だからいまでも出版社とは言えないし、出版社というのには自分でも抵抗がある。」
 
 業としての出版は、商品としての本を作って、読者の手元に届くようにして、
その過程を通じて収益を上げることを目的としているのですが、湯川成一さんの
本作りは、多くの労力を費やして制作した限定本のすべてが販売されたとして、
やっと投下した資金が回収されるようなものであって、利益を上げるところまでも
いかなかったようです、