保育社カラーブックスからでている「珍本古書」に掲載されている本で
小生がもっている本は、残念ながらただの一冊もありませんです。ずいぶんと
たくさんの本がとりあげられているにもかかわらずです。
ここにあって、これは珍本であるなと思ったのは「岩波文庫の異装本」で
ありました。岩波文庫には、図書館むけの異装本があって、これはセットで
一般向けにも販売されたことがありますので、小生も入手したことがありますが、
戦前には、訳者自家用版という異装本があったとのことです。このような本が
あったことは知りませんし、見たこともありません。
高橋啓介さんの紹介では、次のようになります。
「 中身は文庫本と同じであるが、本の大きさが文庫より天地左右とも0.5センチ
程度大きい未裁断本である。装丁は文庫本と異なり、白い紙装で模様はない。
普通の奥付はなく、
昭和・・年・月発行
岩波文庫訳者自家用版
・・部内第・・番本
上のように奥付ページに記載されている。
両書とも戦前版であるが、この種、自家用版を古書店でも見かけたことのない
珍しい本である。」
この本には、ロマン・ロラン「ベートーベンの生涯」のことがとりあげられて
いるのですが、これの訳者本は、わずか20部とのことですから、立派な
珍本、稀覯本といえるでしょう。