ディーノ・ブッツァーティの本

 今年のみすず「読書アンケート」を、取り上げたときに「みすず」と「本の
雑誌」のアンケートにディーノ・ブッツァーティの本がとりあげられていると
記しました。

 この本の元版は、購入してどこかにあるはずと思っていましたが、最近は、
ほとんど手にすることもなしでいましたが、古書価がべらぼうということを
知って、これは早くに発掘しなくてはと、押し入れのダンボールを捜索をして
おりました。昨日の捜索で、地味なダンボール箱から「クマ王国の物語」と
ジョイス「猫と悪魔」(丸谷才一訳)がともに姿をあらわしました。
小生の「クマ王国の物語」は読んだ事もないというのに、すこし表紙カバーが
痛んでいたりして、とっても売り物にはならぬと思いましたです。
 読むだけでありましたら、今回の福音館文庫版でよろしですが、手にして
楽しいのは、もちろん元版のほうであります。元版は、大型であるうえに、
挿絵はカラー多用で、横書きとなりますので、文字の流れと読み手の目の動きが
違います。
 元版では訳者あとがきはなくて著者の紹介のみでありましたが、文庫版では
お二人の訳者が文章を書いています。今回の文庫版には、増山暁子さんが、次の
ように書いていました。
ブッツァーティはヨーロッパでは各地で古典も開かれるほど画家としての評価も
高く、魅力的な絵本も描いている。しかし、日本では画家としてのブッツァーティ
はあまり知られていないので、今回彼の絵がいくつも挿入されている『クマ王国の
物語」が文庫本として甦ることになり、どんなにうれしいか。」
 ブッツァーティの画家としてことは、日本ではほとんど知られていないと思う
のですが、元版の作者紹介には、以下のようにありました。
「 ブッツァーティは、自分は画家が本職だといって、不思議な絵を描き続けて
いたが、生前はあまり認められず、死後何度かおおきな展覧会が催され、評価が
高まってきている。自らいみじくも述べているように、彼の絵は『語る絵』なのだ。
文章に絵をそえた作品がいくつかあるが、本書も自ら描いた挿絵が、物語と一体と
なって、読者を楽しませてくれる。」