白水社百周年 2

 昨日に表紙をかかげたラブレー「第一之書」です。もともとは箱に入っていたので
しょうが、当方のは本体のみとなります。この表紙に使われている紙は、なんという
ものなのでしょう、すこし毛羽立った感じのもので、てざわりがよろしです。
 昨日に二六〇三年というのが裏表紙に記されていると書きましたが、昨日に用意す
ることができなかった写真を、以下に掲げてみます。

 よくもまあ戦時下において、このような本がでたものであります。この「第一之書」
昭和18年1月 5000部 定価は4円50銭です。いまでしたら、どのくらいの感覚で
しょう。簡単に買えるものでないことはたしかであります。

 この「第一之書」は、普通に三方がカットしてありまして、フランス装ではありま
せんでした。
 白水社の昔の刊本には、フランス装のものがあったのですが、当方の手元にあるも
のでは、次のものがフランス装であったようです。これはちゃんと読まれたようで、
ページがカットされていました。
 この本の表紙と裏表紙を掲げてみます。


 当方の手元にある「アナトオル・フランス長編小説全集」は二冊だけですが、写真
の「シルヴェストル・ボナールの罪」は、昭和16年の再版本です。ちなみに定価は
1円50銭となっています。
 アナトール・フランスは、1921年ノーベル文学賞をうけていて、大変な人気作家
であったようです。戦前に長編小説全集と短編全集 併せて24巻が計画され、それは
戦前に完結となっています。
 ちなみに、この戦前版全集をもとにして、2000年代にはいってから小説集全12巻が
刊行されました。いまは、この版と岩波文庫で「シルヴェストル・ボナールの罪」は
読むことができるようです。
アナトール・フランス小説集〈1〉シルヴェストル・ボナールの罪

アナトール・フランス小説集〈1〉シルヴェストル・ボナールの罪

シルヴェストル・ボナールの罪 (岩波文庫)

シルヴェストル・ボナールの罪 (岩波文庫)

 「シルヴェストル・ボナールの罪」といえば、林達夫さんの「ラヴェンダー」で
ありますね。