「奇縁まんだら」の楽しみ2

 「奇縁まんだら」で興味深いのは、ビッグネームの作家などではなく、
そのビッグネームのまわりで活動している作家たちであります。
「 私がまだ出家しない前、急速に仲良くなった女の友人がいた。
 京都在住の折目博子さんという作家で、京大の作田啓一教授の夫人で
あった。ご両親が徳島の出身のせいか、徳島産の私に無邪気になついて
くれ、『手のひらの星』というすばらしい自作の本を送ってくれた
のが、きっかけでよく往来するなかになっていたが、教授夫人という
イメージは全くなく、童顔にたっぷりの髪をおかっぱにして、厚化粧で、
派手な着物や服をみにつけていた。岡本かのこの再来と信じているふしが
あり、確かにそうかと思わせる点もある不思議な魅力的な女性であった。」
 この折目さんという女性は、自称 稲垣足穂のたったひとりの女弟子で
あるとさりげなくいうのでありますが、稲垣足穂さんには、奥さんの
存在がしられていましたが、そのほかにも、このような人がいるとは
思ってもみませんでした。
 京大の作田啓一というと社会学者で、しぶい顔をした中年(いまから
40年近くも前)であったと思いますが、この学者さんに、このように
不思議な奥様がいるとは思いませんでした。
 それにしても、童顔、厚化粧、派手な着物というのは、インパクトがある
ことで、最近は、どのようことになっているのでしょうか。