本について書かれた本

 昨日に引き続いて「読書の腕前」岡崎武志さんの本を手にしておりました。
このなかには、「私が目録やネットで買わない理由」というくだりがありまして、
そこで、「古本人生の最終コーナーにかかると買うのはもっぱら目録やネットで、
店回りをしなくなり、即売会へも目録で注文した品物をとりに行くのが主な
目的となる。」とありました。このようにいわれると身も蓋もなしという感じで
ありますが、ほとんどの人にとって、古本やめぐりというのは、一日仕事で
ありまして、すんでいる町にブックオフまたは新古書店がないという人も珍しく
ないのでありました。もちろん、古本や歩きを目的として旅行にでるという話は
聞いたことがありましたが、そのむかしと比べるとリアルな古書店はずいぶんと
姿を消していることです。(昔ながらの本屋が姿を消したあとに新古書店が登場して
いるのですが。)
老眼になる、腰が痛い、膝が痛い、しかし欲しい古書があるとなるとこれは目録か
ネットしかありませんですよ。「均一小僧」といっていた方も老境にはいることが
あるでしょうが、そのときにどうするでしょうか。(もっともネットとか目録には
一冊100円本はないですからね。)
 小生は、住んでいるところが地方であることや、時間の余裕がないせいもあって
ずっと目録にたよっています。長いこと探していたものを目録で見いだして
注文をして確保したときの喜びは、自分で探し歩いて見いだしたときとくらべると
すこしは感激がすくないのですが、それでもこれにかわる道はなしです。
最近は、これに加えてネットで入手の道が開けましたので、イージーではありますが、
ネットが開いてくれた新しい世界ではあります。いなか暮らしにとっては大都市圏との
間に存在した障壁を取り除いてくれたのでありますよ。 
 この本の最後のところには、「本それ自体を読むより、本について書かれた本の
ほうがおもしろいくらいだ。そこで紹介された本がまた読みたくなり、あるいは
著者が本を読む姿や仕種を追うことで、読書欲が刺激される。これは読書の永久運動だ。」
とありますが、このくだりには、まったく同感です。
 小生が、このブログをあきもせずに更新しているのも、これにあるキーワードで
つながる世界から、なにか新しい刺激を受けたいと思っているからであります。 
 この「本の本」のところで最後におかれているのは、小林信彦さんの「本は寝ころんで」で
ありまして、これについて岡崎さんは、「無類のおもしろさ」といっています。
ブログのタイトルを「本はねころんで」としたときには、どこかで耳にした言葉であるとは
思っていたものの、小林さんの著書と同じであるということを失念していたのであります。
小林さんの読書系の文集はほぼ読んでいて、当然にこれも読んでいたというのにです。
ほんとに、なんでも忘れることでありまして、なさけないのですが、無断借用とか剽窃
いわれても、これを今後も使わせていただきます。