帖面舎の本

 昨年にでた「サンパン」第14号は、垂水書房とその主人であった天野亮さんに
ついての文章を目当てに購入したものです。小生が学生の頃に、古本屋にはゾッキ
本となっていた垂水書房の本がたくさんあったのですが、小生は、ここからでた
ものでは篠田一士さんのものが印象に残っています。この「サンパン」で垂水書房に
ついて書いているのは吉田健一さんの研究家ともいえる西村義孝さんでありまして、
当然のこと垂水書房には吉田健一さんの著書の版元として親しんでいたものです。
 垂水書房の主人 天野亮さんは、東京文理科大学で福原驎太郎に教えをうけて
いるのですが、この『サンパン」第14号の巻頭におかれた「蓬莱屋と帖面舎」にも、
福原驎太郎さんの名前が登場します。この蓬莱屋さんというのは印刷屋さんですが、
小生は、ここを書肆山田の印刷所として記憶しておりました。そして、この蓬莱屋
さんが、みずから出版事業にのりだしていた時に、名乗っていたのが「帖面舎」と
なります。 先日、小生のところに届きました古本目録を見ておりましたら、福原
驎太郎さんの本がでておりまして、その版元は帖面舎とありました。書名は「明日に
新しく」、価格は1,575円であります。これはどうしたことだと、「サンパン」
14号で確認してみたのであります。
 帖面舎の本について、版元でもある印刷やさんのご主人は、次のように記して
います。
「 ちょっと意匠をこらしたのは、福原麟太郎さんの随筆集『明日に新しく』かな。
 福原さんの嗜好もあった。新聞発表の短文を集めた小型本で、洋書風に、表紙の
 平のステッチと背のバンドの部分を空押しし、その本体に書名と著書名を白インキ
 で印刷したセロハンをかけた。吉田健一さんがこの装幀を書評のなかでほめて
くれた。」
 
 古本ソムリエさんのブログを見ていましたら、2007年に、この「明日に
新しく」を入手したという記述があって、ここにはそこそこの金額を投じたように
記していますので、こちらは、ますますのことうれしくなったのであります。