図書館はにぎわっていた

 図書館は本日から一ヶ月ぶりで通常業務となりです。すでに予約分について

の貸し出しは行われていたのですが、やはり開架から本を選んでカウンターで

借り出しするのが一番です。

 本日の図書館は、開館と同時にどっと利用者さんが押しかけたと地元の新聞

にはありました。行くところに困っていた人たちには、図書館はありがたい場

所であります。

 当方もおっとりで行って、ずっと借りていた本を返却して、また別の本を借り

てくることになりました。ずいぶん久しぶりでありますからして、見慣れぬ新刊

がどっとあるのではと思ったのですが、そのわりでなくて、大きな手提げを用意

していったものの、ほとんど収穫なしで、ちょっと残念なことでした。

 借りたのは、普通であれば買っていても不思議ではない中公新書の一冊であり

ました。中公新書の場合は、自分の子どものような年齢の若い人が書いている時

は購入し、図書館で借りて読むという棲み分けに、自分のなかでなっているよう

です。

 今回は著者の年齢が高いので、借りて読むことにです。

 目次をパラパラと見て、頭からまるかじりではなく、後ろのほうにおかれた

「カルチャーの時代とその終焉」をまず読んで、それから、次に興味のある章

を読んでみることにしましょう。

 吉見俊哉さんは、ちくま新書「平成史講義」でかなり辛口に失われた時代と

いっているわけですから、その立場は日本国の未来はバラ色であるなんてこと

は言ってないはずです。

 最近の後継総裁選びなどを見ても、どう考えても、この国の未来が明るいも

のとは思えないことで、首をすげ替えてうまくいくのであれば、そんな簡単な

ことはないと思うことです。

 

風雨すこし強し

 この時期は台風が発生しやすいのでありました。今年はいまのところ台風の

襲来はないのでありますが、北海道で一番有名な台風は9月の洞爺丸を沈没さ

せたものでありました。昭和29年の9月26日でしょうか。当方の記憶で

一番古いものは、この台風で自宅裏にある小さな物置の屋根がとんだというも

のですが、その時三歳半くらいでした。

 昨晩から本日の午前にかけてけっこうな雨量とすこしの風でミニ嵐の雰囲気

でした。すでに盛りを過ぎたバラの花が、バラバラと落ちまして、地面が乾き

ましたら、それの始末をしなくてはいけませんです。

 外出から戻りましたら、このところ楽しみにしています新潮社「波」10月号

が届いておりました。まずは編集後記を見てから、今月の目次に目を通すことに

です。

 目次で目をひいたのは、なんといっても宇能鴻一郎さんでありまして、特別

エッセイという扱いで、「入院すると背が高くなる」というタイトルの文章が

掲載されておりました。 

 宇能鴻一郎さんは1934年生まれとありますので、御年87歳でありますか。

ほんとに若々しい文章でありまして、その昔にたくさんの官能小説の語り口調で

鍛えられたからでありましょうか。

 今回のエッセイの書き出しは、次のようになりです。

「七月半ば、横行結腸ガンとかで二週間入院した。手術そのものは痛くない。

腰椎麻酔も腕の採血より痛くない。尿管挿入は親しい編集者が苦痛をうったえて

いただ、なんということもなかった。こちらの太さによるのかも。自慢している

のではないよ。」

 87歳でありますよ。当方の父は15年も前に86歳でなくなったのですが、

こんなポップさは持ち合わせていなかったよな。当方の友人たちも病気だとか、

老化の悩みを伝えて来る人はいるけども、「こちらの太さに」なんて書いてくる

のはいないな。

 それにしても、このエッセイは最近にでた宇能さんの「姫君を喰う話」が好評

だからこそ実現したものと思われ、なによりもご本人が喜んでいて、ごきげんな

様子が伝わってきて、この本を新潮文庫にいれた編集者さんはおおいに褒められ

ていいですね。

 宇能さんは、次のように書いています。

「退院してきたら新しい文庫本がとどいた。

 うれしい。何しろ芥川賞の『鯨神』は前の文庫から四十年たっている。内容も

徹底的な校正を経て満足すべき決定稿となった。」

 この文庫本に収録の作品のうち一つはまだ読んでいないのです。もったいなく

てと思っているうちに、あの本はどこに押し込んであるのかな。

 

公共施設は開館へ

 コロナによる緊急事態による公共施設の閉館は、明日をもって解除となる

とのことです。週末には図書館とかはかなりにぎわうのでありましょう。

ずっと借りっぱなしになっている図書館本は、返却しなくてはいけませんの

であとすこし残っているページを大慌てでめくることになりです。

 この間に借りていたのは二冊なのですが、それがなかなか読み通せずにで

ありました。一冊は、この場でも話題にした「コード・ガールズ」で、USAで

はベストセラーになったとあるのですが、このような本がベストセラーになる

というのは、USAという国はやはりたいしたものであります。

 もちろん戦勝国ということもあるのでしょうが、この時代の日本においては、

この本はどのように迎えられているのか思います。

過去には、USAのシンボル的な建物を購入したりして、USA市民の神経を逆な

でしたジャパンマネーは、現在は同じようなことをチャイナマネーにされてい

て、かりかりと苛立っているのですが。

 「コード・ガールズ」は第二次世界大戦時におけるUSA陸海軍が擁した暗号

解読部隊の活動を、それを下支えした女性たちに焦点をあてて記したものです

が、そのなかには極めて優れた能力を有する女性がいて、それについで無名の

大勢の女性たちがいたことが描かれています。

 彼女たちが取り組んだのは、ドイツや日本という枢軸国の暗号化された通信

文でありまして、それを解くためのきっかけは優れた能力の女性たちが見出し、

それをヒントに人海戦術で解読作業が行われるということがわかります。

 日本の外交官が本国に報告する電文は、それが詳細であればあるほど、敵に

とって有意義というのが、皮肉な話であります。

これに登場する日本の外交官で、一番大きく取り上げられるのは駐ドイツ大使

であった大島浩さんでありまして、その使命に忠実な報告は、すこし無邪気は

感じも受けることです。

「1943年11月、駐独日本大使の大島浩が発信したなかでもアメリカイン

テリジェンス活動にとってもっとも貴重な情報のひとつは、ブルターニュから

ベルギーにいたるフランス北西部沿岸全域でドイツが進めている要塞化につい

て微に入り細にわたり描写した、饒舌でやや興奮気味の文章だった。・・・・

 ナチスの軍隊と演習に感服していたにもかかわらずーあるいはそのためにー

大島は、連合国がナチスを妥当するために必要とする、現地でしか得られない

詳細なインテリジェンスを提供した。」

 なんとも皮肉なことでありまして、もちろん解読されていることを知ってい

たら、そのように報告はしなかったでありましょう。大島大使は、連合国が

意識的に流した偽装通信に誤って反応したドイツ軍の戦略も、母国に報告する

ことになるのでした。(これはノルマンディー上陸作戦に関して)

 日本スゴイという立場の人は、このような本を手にすることはないのでしょ

うが、一方の立場からの話を聞くだけでなく、もう一方からの話を聞くことが

重要であるということを、改めて知ることになる本であります。

谷中といえば

 谷中といえば、東京スカパラバリトンサックスを演奏している谷中敦

ことを思い出すなんていうのは、わざとらしく、谷中といえば霊園と小沢信男

さんを思いだすのでありました。

 小沢信男さんの昔の本には、終わりのところに住所が掲載されていまして、

その頃は東池袋にお住まいでありました。東京がバブルになって、地上げが

横行した時代に、小沢さんの住まいにもそれが及んで、これに乗じて谷中の

墓地のなかの古い住宅を購入して、ここへと移りすみました。

 谷中のお住まいへは日暮里の駅から霊園のなかを歩いていくか、または台東

区めぐりんバスにのって三崎坂(さんさき坂)で下車して行くかでありました。

 これを思いだしたのは、もちろん昨日から手にしている森まゆみさんの新書

「しごと放浪記」のおかげであります。(26日の読売新聞読書欄の文庫、新

書の欄には、津野海太郎さんの「最後の読書」とならんで「しごと放浪記」が

取り上げられていました。読書欄に関しては読売はえらい。森さんの新書には、

「新聞の書評は、権威主義で書かれたような難しい本が多かった。」とありま

す。1980年代のことですが、さて今はどうでありましょう。)

 小沢さんが谷中の住人になる前から森まゆみさんと面識があったのかどうか

はわかりませんが、谷中に越してからはご近所付き合いのようなものがあった

と思われます。当方も小沢さんから森さんのお名前を聞くようになりました。

 これまで「しごと放浪記」を読んでいて、小沢さんに言及しているのは、次の

二箇所です。(この先まだあるのかもしれません。)

「2000年ごろ『本とコンピュータ』という雑誌で、地域の仲間でもある河上

進さんが『機械に弱くても学べるパソコン』みたいな連載をやりませんか、と

いうので、大先輩の作家、小沢信男さんとの往復書簡みたいな形で連載を始め

た。」

 あと一箇所は森さんの本がちくま文庫にはいったときに、それの解説を書いて

くれたことについてでありました。

 そうなんですよね、「本とコンピュータ」という雑誌が縁で、小沢さんは富士通

オアシスワープロからマック派(最初のマシンはIbook G3のクラムシェル)へ

となったのでありました。CUBEとかMacBookを経て、最後のマシンはiMacでし

た。) 

 先ほど引用した森さんの文章に続いては、「河上さんが秋葉原で、マックを買う

ところから付き合ってくれ、設置もし、手取り足取り教えてくれました。」とある

のですが、この時は小沢さんも一緒だったのかな。そのあとの指南役は、小沢さん

の「暗き世に爆ぜ」の最後に名前があがっているデザイナーの「古藤祐介氏」で

ありました。

 この連載は何回続いたのか、まだ保存されている「本とコンピュータ」を開いて

みることにしましょう。

リハビリ読書

 ほとんど本を読まず、新聞もあまり手に取ることのない生活が続いていま

したが、たぶんこのあたりで一区切りでありましょう。

本日はパン作りをして、手続きのためにあちこちまわってきました。徐々に

落ち着きを取り戻すはずであります。

 本日の夜になって昨日に飛行場の本屋で買ってきた森まゆみさんの新書を

手にすることにです。森さんのこれまでに取り組んできた仕事について、高校

の頃からのことを振り返りながら記しています。

 森さんは、当方よりも四学年ほど下になるようです。早稲田の政経という

人からうらやましがられる学部に進学しましたが、当時は女性ごく少数派で

就職でははっきりと差別されたとありました。

 当方などは、文弱を絵でかいたような学生で、ほとんどまともには就職でき

るわけがなしで、仕事につくことができたのは奇跡のようなことで、まわりに

女性は数人しかいなかったのですが、彼女たちはどのような仕事についたの

でありましょう。当方などは、ほとんど交流もなくって、他の人たちが卒業し

たのかどうかさえ承知しておりませんです。

 これは当方だけの話であるのか、それともまわりもみなそうであったのか

よくわかりません。そういえば、何組かクラス内で結婚した人もいたのですが、

彼らはいまも一緒に生活をしているのかな。

 それはともかく、森さんが結婚したという北海道出身の男性はどのあたりで

登場するのかと、先を急いでみておりました。

 結婚した頃の回顧がありました。

「資格試験の勉強を始めた夫を支え、編集のアルバイトはなんでも引き受けた。

二十五歳で結婚してから『谷根千』を始める二十九歳までの四年間がいちばん

貧乏で、何をしていいのか、したいのかわからない時代でした。とにかく、

夫に一人前になってもらわなければ。」

 ということで、この時代の森さんはけなげな(?)妻であったのですね。

三十六歳の時に、夫とは離婚したとありました。(たぶん、資格試験には合格

しなかったのではないかな)

 そうしたアルバイトの一つのことを、次のように記しています。

「新聞研の講師に来ておられた信木三郎さんの伝手で、彼が重役を務める『講

談社インターナショナル』のアルバイトを始めました。時給が九百円と当時と

してはわりとよく、一日四時間働いて三六百円もらいました。信木さんには

『君は出版社を二年でやめたんだって?」と聞かれました。会社の名前を告げる

と『え、あそこで二年も保ったのか』と逆に感心されましたが。」

 信木さんといえば、以前にもこの場で言及したことがありましたが、この方

には森まゆみさんもつながっていましたか。

信木さんが二年保ったと驚いた会社は、サイマル出版会でありました。

 

 

 

本日は飛行場へ

 本日は朝早くに目が覚めまして、一週間ぶりでの散歩にいくことができ

ました。先週の日曜以来でありますが、この一週間ですっかり朝の空気は

冷たくなっていました。この時間帯に散歩にでかけるとしましたら、すこし

重ね着をしなくててはいけないようです。

 本の話でもと思いましたが、本日もまるで時間の余裕がなくて、読まなく

てはと思っている本にはふれることもできずでした。

 お昼前に来客を送って飛行場(というか今は空港というのですね)へと

いくことになりです。コロナのせいでずっと苦戦が続く観光業界ですが、

この飛行場も例外ではありません。とはいっても関西からの客人にいわせる

と、関西空港よりはにぎわっているとのことでした。関空は海外からの客が

さっぱりで空港ビルのテナントさんは、休みのところがめだつともいって

いたのですが、当方が関空へと向かう便を利用するのは、いつになるであり

ましょう。

 本日の飛行場へといったときに、テナントではいっている本屋にいって

みました。大手の書店の小さなお店ですが、ここでは一番気になっていた

本を探してみることにです。探したのは森まゆみさんの8月の新書新刊で

すが、当方の住むまちのそこそこ売り場の大きな書店を訪れてみるも、どこ

にも入荷していませんでした。

 ほんと新書は売れないのだなと痛感するのですが、森まゆみさんクラスで

あってもこうないのかです。

 やっぱりだめかなと思って新書棚をみましたら、特徴ある新書の背表紙が

眼に入りました。おおやっと見つけることができたとありがたく買わせて

もらったのですが、この狭い売り場の本屋にあって、やたら売り場の大きな

ところにはないというのは、よくわからないことで。

 まだまったく読んでいないのですが、森さんのこの本に関心を持ったのは、

半自叙伝のようなものではないかと思ったからです。

 森さんのプライベートでは、シングルマザーであることは知っていますが、

その別れた連れ合いさんが、森さんの書いたものをみますと、北海道出身と

ありまして、その人について、なにか書かれていないかなと思ったのです。

 あとは小沢信男さんにどこかで触れていないかなと思いました。こちらの

ほうは谷中でつながるであります。

明日は散歩へ行けるか

 本日は秋晴れの一日となりました。すこしずついつもの生活が戻ってくること

になります。朝起きて日課としている庭の見回りを行いましたら、一昨年に挿し

木にしたバラが初めての花をつけていました。これまでも蕾はあったのですが、

それは木が小さいので咲かせずでありました。

 挿し木にする花をいただいた方は、名前には無頓着でありまして、純粋に花を

楽しむ方で、当方は名前にもこだわりがありますので、これだろうと思う花の

名前をメーカーのカタログで確認して、あたりをつけるのでありますが、これが

あっているのかどうかはわかりません。

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 このバラはデビッド・オースチン社のものですが、たぶん「ジ・アレンウィック・

ローズ」だと思うのですよ。このあと、この木はどのように育ってくれるでしょう

か。すでに子育ては終わった高齢世帯は、ペットのかわりにバラを挿し木から育て

て、楽しむことにです。当方のバラの楽しみは挿し木で育てることなのだなと思っ

ています。

 いつもの週末といいますと、身体を動かして汗を流すことになりです。明日も

お天気は良さそうでありますので、久しぶりにすこし散歩にいってみようかと

思っています。ちょっと体力が落ちていそうなので、あまり無理せずにほとほど

にです。