本日に郵便で「ちくま」6月号が届いておりました。あぶないところでありま
した。明日からは配達がありませんので、一日遅れたら週明けに配達となるとこ
ろでした。よかったこと。
「ちくま」はこのところ斎藤姉妹が連載をもっていて楽しみなことです。妹の
真理子さんは「読んで出会ったすごい人」というタイトルで、6月号で取り上げた
すごい人は、東峰夫さんであります。おお、まじであるか。
「東峰夫さんの中編小説『ちゅらかあぎ』(文藝春秋、1976年)は私にとって、
そういう経験(過度の緊張?)を慰撫してくれる本だったようだ。そうらしいと気づ
いたのはわりと最近で、ニ十代のころから何度も繰り返す読んできたが、どうし
てこの本がこんなに好きなのか不思議だった。」
斎藤さんが大学をでてフリーランスで働き始めた時に「顔が上がっちゃって
下りてこない」と感じるようになったのだそうですが、その頃に読んで共感した
のが東峰夫さんの「ちゅらかあぎ」であったとのことです。
斎藤真理子さんは、これに続いて「ちゅらかあぎ」のどこに慰撫されたかに
ついて書いてくれているのですが、東峰夫さんと斎藤真理子さんの置かれた
環境はまったく違うでしょうよと思うのですが、読んでみると、そのようにつなが
るかと思うのでありました。
当方が東峰夫さんの「ちゅらかあぎ」を知ったのは、安原顕がコラムで書いて
いたからであります。掲載は「レコード芸術」で、このコラムは「まだ死ねぬ文学
のために」に収録されています。
その昔、この小説を読んでみて、東峰夫さんが荻窪で井伏鱒二宅の、阿佐ヶ谷
で上林暁の家の前をうろついたというエピソードが気に入りまして、この小説家は
肌があいそうと思ったのですね。
最近めったに話題になることのない東峰夫さんの小説でありますが、これを
機に「ちゅらかあぎ」を読んでみることにいたしましょう。