モランディではないな

 昨日にスマホでネットを見ていましたら、文庫本の表紙が目に入りました。

装画は静物を描いたものでありますが、須賀敦子さんの本でありましたら、

モランディが使われたりしているのですが、ちょっとその表紙絵はモランディと

は雰囲気が違うことです。

 ひょっとしてこれはと思いながら、その文庫本の装画で検索をしていました

ら、やはりでありました。この画家の絵が使われているのなら、この文庫を購入

してもよろしいかと思ったのであります。

 その本は柴崎友香さんの「百年と一日」であります。元版は2020年にでた

ものだそうですが、そのときには、まったくアンテナにかかりませんでした。

3月に文庫になって、それで旧ツイッターなどでも話題になるのを見まして、あれ

これはひょっとしてと思ったのです。

 この表紙の絵は、モランディとはタッチが違いますよね。

元版がでた時に筑摩書房さんの旧ツイッターで、次のように発信されていました。

「 【見本出来】柴崎友香『百年と一日』の発売がいよいよ来週15日に迫って

参りました。編集部にはピカピカの見本が出来上がってきました。

装画は、長谷川潾二郎「紙袋」。装丁は、名久井直子さんです。この本によく合っ

いる装丁になったと思います! 来週、ぜひ書店さんの店頭で確かめてみてくだ

さい。」 2020年7月7日のツイートです。

 ということで、「百年と一日」の装画は長谷川潾二郎さんの「紙袋」でありました。

長谷川潾二郎さんの画文集である「静かな奇譚」を開いてみますと、それでこの絵

を確認することができました。

 「 紙袋 1970 38.0✕45.5  」

 長谷川潾二郎さんは、もちろん長谷川四郎さんのお兄さんでありまして、彼の

代表作は洲之内コレクションになっている「猫」でありますね。

 猫と静物に関しては、この「静かな奇譚」に次のようにありました。

潾二郎本人の回想によると、静物のモチーフを並べた机上に飛び乗ってメチャ

メチャにしたたね、アトリエには入れなかった愛猫タローが、偶然アトリエに入って

長々と身を横たえ、良いポーズをとったことがきっかけとなってできたという。ほぼ

伝説的に語られる、長い時間をかけて描かれた経緯や、作品に関する洲之内との

やりとりにも興味ふかいものがあるが、単純化した色彩と形態、そして対象への

愛情が見事に同居した、『静物』シリーズの傑作といえるのではないだろうか。」

 「静かな奇譚」の表紙には「猫」となっています。