先日の読書欄に

 当方が購読している新聞読書欄(7月20日付)は、「書評委員の『夏に読み

たい3点』」という特集でありました。19人の書評委員に、担当記者二人のあ

わせて21人ですので、63冊があがっていました。

 友人からは乗代雄介さんの本があがっていたねと連絡があったのですが、

これは見逃していました。あがっている本で、当方の読んでいるものは少なく、

手元にある本もわずかでした。

 そんななかで、これは読んでみたいと思ったのは、記者さんがあげている次の

ものです。

 西川祐子さんは、今年の6月12日に亡くなられました。新聞で報じられていた

のですが、あまり大きな扱いではありませんでした。もともとは仏文系の学者さん

でありましたが、それにあわせてジェンダー系の業績がありまして、今回あがって

いたのは、そうした一冊。

 当方が西川祐子さんの本を読んだのは、図書館から借りた「古都の占領」で

ありまして、これが世にでたときの西川さんは80歳でありましたので、びっくり

した記憶がありです。

 この方のほかのものも読んでみたいと思いながら、ここまでその機会がなかっ

たのですが、思いがけずに「夏に読みたい3点」にあがっていて、これをさがして

みようと思っていました。

 そう思っておりましたら、本日の新聞一面の「折々のことば 鷲田清一」さんが

西川さんの「増補 借家と持ち家の文学史」から、次のくだりを引用していました。

「家の内部と家族のありようについて、くりかえし書きつづけたのはむしろ男の作

家たちであって、女の小説家ではない。」

 これを引用した鷲田さんは「佐田稲子から宇野千代まで、女性の作家たちは

むしろ、父の家、夫の家からの脱出や、『家』の枷を外した家族の多様なありよ

うを描いたと、文学研究者・女性史家は言う。」

 上に続いては、次のようにありです。

「同様に、戦後大学を卒業しても活動の場がすぐにない女性たちは進んで海を

渡った。」

 たまたまですが、西川祐子さんの孫の世代に近い、社会学者の朴沙羅さんの

ヘルシンキ 生活の練習」が今月にちくま文庫に入りまして、これを読んでお

りました。朴さんは国内でも研究職につけていたようですが、「ふたりの子ども

と海を渡った」のであります。

 西川祐子さんが切り開いた道は、このように朴沙羅さんの世代に受け継がれ

ているのでありますね。