すこしページを稼がなくては

 図書館から借りている本と積読本などを読んでいるのですが、すこし煮詰ま

り気味でありまして、読みやすいものを混ぜなくてはいけないことです。

佐藤正午さんのものは、読みやすくないことはないのですが、スルーっと読み

ますと、あれどうなっているのかとなりまして、ちょっとつっかかりながら読まな

くてはいけないようです。

 図書館本の入れ替えの時に、もうすこしページを稼ぐことができるものをと

棚を見ていましたら、1月に立ち見した本が、図書館に入っていましたので、それを

借りてみることにです。

 モスクワ放送で働いていた日本人スタッフについてのドキュメントで、著者は

毎日新聞の記者さんとのことです。(基本的に新聞記者さんは、難しい内容で

ありましても、多様な読者にあわせて、わかりやすく記してくれるのでありがたし

です。)

 時代はちょうどソ連邦が崩壊する前後でありまして、今から30年ほどしか前で

はないのですが、あの頃の混乱と較べると、いまのロシアはなんて安定している

のかと思うロシアの人も多いのでしょうね。

 ワイマールからヒットラーが生まれたように、グラスノスチからプーチン誕生で

ありまして、すこしの混乱を伴う自由を謳歌したあとには、その副作用が発生す

ることです。

 その昔の冷戦時代のモスクワ放送で働くといえば、共産党関係者というのが

多かったように思いますが、この本に登場する人たちは、なんとなくノンポリ風で

ありまして、外国の放送局の一つとしてのモスクワ放送に職を得たという趣で

あります。

 本日に読んでいたところで、こんなことがあったのかと思ったくだりです。

1992年のことになります。

「放送局も資本主義の波にのまれていく。モスクワ放送が持つ中波のいくつか

の周波数のうち最も聞きやすかったと言われる720キロヘルツについて、日本

時間の午後11時台をロシア政府がオウム真理教に売り渡していたことが当時

取りざたされている。・・・『オウム真理教放送』が1992年4月に始まったとき、

教団はすでに坂本弁護士一家殺害事件を起こしていたことがのちに判明す

る。・・外国だとはいえ、殺人事件を起こした集団に公共財産である電波を

提供したのだから、強い非難を受けても仕方がない行為だった。」

 そういえば、この本を見てロシアでオウム真理教が多くの信者を獲得して

いたことを思いだしましたです。