文庫本話題二つ

 本日に久しぶりで行きつけの本屋へといくことになりました。あれこれ気に

なる本もあったりするのですが、たぶん、文庫以外は目にすることはできないで

ありましょう。

 ということで、本日に手にした文庫の話です。

 今月の文庫本で、当方にとって一番のものは、早くも文庫になった読売文学賞

鮭児文学賞を受けた、次の小説であります。

 今回の文庫化にあたっては、表紙カバーの装画をがらっとかえて、赤から白に

であります。画家も宇野亜喜良さんになって、こちらのほうが手にしやすいか。

 帯に読売文学賞とならんで鮭児文学賞とあって、こんなところで太字になる

とは「親愛なる北海道民」はにんまりとするのでありました。(もちろん豊崎

社長が一人で選考する賞ですね)

 この小説を文庫で購入してすぐに読むことができるかなと、しばし考えること

になりました。昨年に図書館から借りて楽しく読んだのでありますが、いまの

生活で、これをすぐに読み返すことができるか悩ましいことです。

 今回の文庫化で一番気になる解説をどなたが書いているのかと、まずは巻末を

チェックです。そこには若島正とありました。これはこれはであります。今年は

河出文庫に入った若島さんの詰将棋本を購入して楽しんだのでありますが、どち

らかというと、こちらの解説のベースとなっているほうが本業であります。

 このとても入り組んだ小説を、すーっと切り分けていただいて、この小説に

先行する(ということは、この小説は過去からの小説の継承作品)ものであると

いうことを教えてくれます。

 すでにこの作品を読んでいることもあって、この解説がなおのことひびきまし

たです。この解説のためにも、この文庫は買ってもいいのではないかなです。

といいながら、本日は見送りにして、それよりも先に買ってしまわなくてはいけ

ないものを買うことにです。

 当方の母と同年に生まれて、同年に亡くなった瀬川昌久さんですが、その育ち

は大違いでありますね。とにかく、この本の書き出しは次のようなものです。

「私がはじめて欧米のポピュラー音楽に接したのは、昭和二年から三年にかけて、

両親と一緒にロンドンに滞在したときのことである。」

 こんな時代にロンドンで生活をしていた家族とはどんな人たちなのだろうと、

まずは思いますよね。

 この本の帯には「NHK朝ドラ『ブギウギ』の原点がわかる名著、復活!」と

ありました。こういう便乗復刊は大歓迎でありますよ。