先を急ごう

 最近は本を読むスピードが落ちていましたが、今回の「ジュリアン・バトラーの

真実の生涯」は、久しぶりに順調にペースが進みまして、楽しい読書時間をおくる

ことができました。久しぶりだなあ、こんなにページが進んだのは。

 この勢いを大事にしたいものであります。この次に何を手にするかでありますが、

読みさしにして手近におかれている本はたくさんありまして、「ジュリアン・バトラー」のなかでは、プルーストの本に言及されることが多かったので、外出先で

読むようにしているプルーストの文庫を読みつごうかなとかと思ったものの、これ

では勢いがつかないということで、次のものを手にしてみることにです。

 小栗虫太郎の文庫本であります。これまでも何度か「黒死館殺人事件」は文庫

となっているはずですが、当方はこれを早川ポケミススタイルの新書版で確保し

てありまして、それの雰囲気がよろしなものですから、これで読もうと思った

のですが、ちょっと厄介な小説であることもあって、ページが進みませんでし

た。

 今回の角川文庫版は、いかにも若い読者を意識した表紙カバーなものですか

ら、これなら読めるかなと思いましたです。小栗虫太郎さんは、戦前の作家さん

でありますから、雰囲気は早川ポケミスサイズのほうが馴染むのですが、この

場合は読むことを優先させなくてはです。

 この角川文庫版も、ページにいっぱいに文字がぎっしりで、しかも漢字が多い

ことでありまして、若い人に受け入れられるでしょうかね。

 この文庫本には、「完全犯罪」という短編が一緒に収められていて、そちらの

ほうが巻頭におかれていますので、小栗の世界への入門として、まずはこちらを

先に読んで、すこし慣れてから「黒死館殺人事件」を読んでねということのよう

です。

 当方が最初に読んだ小栗作品は「完全犯罪」で、「現代文学の冒険」という

アンソロジーに入っていたのでありました。ずいぶんと昔の話です。