鮭児文学賞は11回目か

 今朝に新聞に鮭児文学賞の発表が掲載されていたよと、連絡がありました。

当方がこの場で鮭児文学賞を話題にしているにも関わらず、その新聞を購読して

いないということを、彼は知っているのでありますね。ありがたきかなです。

 豊崎由実さんは北海道新聞鮭児書店という欄を持っていまして、年に4回ほ

ど新聞読書欄を飾っています。そのうちの一回が鮭児文学賞の発表にあてられて

います。

 鮭児文学賞は、とてもユニークなものでありまして、豊崎さんが評価しているに

もかかわらず、なかなか広く知られるに至らないものを、賞を与えて顕彰すると

いうものです。

 いかんせん、北海道内にしか読者がいないわけですのですから、ほとんどの人は、

そんなのは知らないよとなるのでありましょう。(豊崎さんのファンは別にすれば)

 先月に河出文庫に入った「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」の帯には「鮭児

文学賞」受賞作と刷り込まれていたのですから、徐々に認知度はあがっていくと

思いたいことです。

 豊崎さんの連載の書き出しは「親愛なる道民の皆さん、こんにちは」となるの

ですが、道民でない皆さんのために、当方が本日の結果をお知らせすることにな

りです。

 第11回鮭児文学賞 「それは誠」 乗代雄介 文藝春秋社刊

 乗代さんは、このところ芥川賞候補の常連でありまして、作品を発表するごとに、

候補になって、しかもかなり粒がそろっているのであります。この「それは誠」も

候補作(受賞作は「ハンチバック」)となってまして、この作品は豊崎さんのイチ

オシであったのでありましょう。受賞作品が複数あってもいいではないかと記して

いました。

 今回の受賞に際しては、「それは誠」についての紹介に先立って「旅する練習」

も紹介しているのですが、この作品はほんとちょっと首をひねったりするところも

あるのですが、芥川賞を受けてもいいのにと思いました。たぶん、乗代さんは、

意識的にか小説をきれいにまとめないというところがありまして、このへんが

評価を分けるのでありましょう。

 当方はそれが嫌いではありませんが、古いタイプの選考委員には受けないで

ありましょうね。

豊崎社長が推すと、豊崎さんと相性のよろしくない選考委員は、彼女がそういうの

であればと、意地になって豊崎推しを外したりはしないでありましょうね。それを

すこし心配することであります。