「ちくま」10月号が届きました。目次を見ていましたら、今月から新連載とあり
まして、書いているのは保阪正康さんであります。
タイトルは「中江丑吉伝 ある時代傍観者の軌跡」であります。保阪さん、すごい
な83歳にして、思いがけずに「中江丑吉」でして、これは注目に値することです。
中江丑吉は、兆民の子息ですが、ほとんど無名でありまして、当方が名前を知っ
ているのは、阪谷芳直さんの著作のおかげであります。(阪谷さんについては、
次のところで話題にしておりました。)
vzf12576.hatenablog.com 中江丑吉について、保阪さんは、次のように書いています。
「丑吉の名はそれほど世間に知られているわけではない。私自身、丑吉に関心を
持ったのはもう四十年近くも前になるのだが、彼についての書は三、四冊しかな
く、それも著者がほどんど同じ人物で、その内容も身近にいて触れていたために
身びいきがすぎて礼賛気味であった。」
保阪さんが言及しているのが阪谷さんの著書のことですね。
これまでは阪谷さんの本しかなかったのですが、丑吉を違った角度から光をあ
てて描こうというのですから、野心的なことでありまして、これは楽しみなこと
です。
連載の一回目では、丑吉が少年の時に父 兆民の書生であった幸徳秋水との
交流について考察を行っています。ほとんど表にはでていない幸徳と丑吉とのこと
ですが、大逆事件で処刑された幸徳秋水と親しく影響を受けたということになれば、
逆賊というレッテルをはられることでして、それもあって、丑吉は幸徳秋水につい
て、語ることはなかったのではないかと、あれこれの書かれたものを読んで解き
明かしていくようであります。
来月以降、連載ごとに読んでいってためないようにしなくてはです。それにあわ
せて阪谷さんの本もひっぱり出してくることにしましょう。