寺島珠雄さんについて小沢信男さんの「通り過ぎた人々」によって紹介をしていま
す。昨日に、小沢さんが寺島珠雄さんのことを「裏長屋の剣客」と表現している部分を
話題にしました。
剣客ということばから思いだすのは、「剣客商売」という小説かなとウィキを引用
してみたのですが、小沢さんの文章の先のところに寺島珠雄さんは、「池波正太郎」
の小説が好きとありました。これまで、「通り過ぎた人々」を何度か読んでいるは
ずでありますが、ほとんど忘れていることもあり、何度読んでも新しい発見があり
ます。
もうひとつそうなんだと思ったのは、次のくだりです。
「年少時からの辻潤への傾倒の半世紀を集約して、氏はついにA5版五百頁の大冊を書き
おろすにいたる。本好きの情報誌『彷書月刊』に、阪神大震災の直後から連載頁をもち、
南天堂探索の中間報告を折々に書いた。
この『彷書月刊』編集長の田村治芳、石神井書林の内堀弘、月の輪書林の高橋徹。
古書業界の新星三羽烏を、寺島氏は関西にいながらいつのまにか支持者にしていた。
私はこの三人を、寺島氏から紹介された。
こういうふしぎは、臨終までつづいた。」
小沢信男さんの寺島さんについての文章は、はじめから終わりまですっと読めて
しまうのですが、あちこちのに伏線のようなものが隠されていて、それがつながって
人物にふくらみをもたせます。
先日から引用しているなかにある言葉でいえば、剣客、池波正太郎などというのが
寺島さん理解のキーワードであるのかもしれません。