あわてて読むことに

 あわてて読んでいたのは、明日にある会議の資料でありました。大部のもので

ありまして、事前に配布され、当日までに目を通して、当日はご持参くださいと

注意書きがありました。あらかじめすこしでも読んで、明日はなにか発言しなく

てはです。発言しないほうが喜ばれるのかもしれませんが、そうであれば、なん

のために出席しているのかわからないことで。

 あと手にしていたのは、明日に返却期限がくる図書館本であります。

これは三冊で、一番薄い西村賢太さんの小説はなんとかページをめくることが

できましたが、あとは二冊はだめで、特に一番厚い「沖縄の生活史」はまるで

読むことができていません。

 すくなくとも自分と同年配の人の語りくらいは目を通してみたいものと思う

ことです。70年代の前半くらいの人のを見ていましたら、5月15日という

日付がほぼ登場するのですが、これは沖縄返還の日でありまして、その昔には

デモなどがあったのだよな。ついでにいうとその一か月後の6月15日は日米

安保条約をめぐっての攻防があった日であります。

最近はほとんど話題にもならなくなってしまったけど、日本の戦後は終わって

いなかったのですね。

 これまで読んだ数少ない人で、興味深かったのはバンドでドラムを担当してい

る七十代の男性。

 その方は、音楽との出会いはと問われて、次のように語っています。

「高校受験に失敗して浪人して塾通い始めてね。ラジオ作るようになったのさ。

真空管ね、当時。節約して、抵抗やコンデンサー買ったり。やっとの思いで三球

ラジオ組んだんですよ。」

 2021年当時に74歳とあります。

 先日に読んでいた千葉雅也さんの「エレクトリック」の主人公の父親のことを

思い浮かべてしまいました。