雨の日の午前は

 昨晩からの雨が残って、上がったかと思うとまた降って、午前中は落ち着いて

外仕事ができませんでした。

 となると本を読んで過ごすしかないぞと、懸案となっている「黒死館殺人事件

を手にすることです。残りは少なくなっているのに、なぜか一気に読み進むことが

できずでありまして、苦戦しておりました。本当は午前から読み始めたら、夜には

読み終わるくらいのページ数であったのですが、いまだ百ページほど残っていて、

これは本日中の読了は難しいか。(次に読むものが積まれて待機中でありますので、

はやく次に移りたいのでありますが。)

 当方の友人にも一日に1冊以上の本を読了するという猛者がいますが、それこ

そ書評家などといわれる人たちは、一日に何冊も読まなくては仕事にはならない

のだそうで、好きなことを仕事にすると苦行を覚悟しなくてはいけないようです。

 本日の新聞を見ていましたら、新潮社の広告に千葉雅也さんの最新小説のこと

が載っていました。

「エレクトリック」というタイトルで、これの宣伝には「1995年、宇都宮。

東京に憧れる高校2年の達也とアンプ製作に没頭する父の冒険譚!」とあります。

 「アンプ製作」というところに、眼がいくことです。この小説のことは、「波」

6月号のマーサ・ナカムラさんの文章で知りました。

「広告業を営む父は、会社存続の手立てとして『ウェスタン・エレクトリック』

というヴィンテージのアンプ製作に力を注いでいる。達也は敬意を持って、父の

仕事を傍から眺めている。」

 マーサさんは、このように紹介しています。千葉さんの小説のなかでは、

このウェスタン・エレクトリックのアンプが大きな役割をはたしているようです。

本文には、次のようにあるようです。これもマーサさんが紹介しているものから。

「『そのシンバル、そこ』達也の父はよく、試聴しながら、スピーカーの間に囲

まれた空間の、どこかの一点を指差した。(中略))ウェスタンのすごさは、音

楽を聴かせるというより、幽霊を見させることにある。」

 ウエスタン・エレクトリックのアンプというと、当方が生まれる前くらいの

映画館などで使われていたものでありまして、ほとんど業務用で家庭用ではない

のですが、なかには映画館での音響装置のようなものを家庭に持ち込みたいとい

人がいて、ウェスタンのスピーカーとかアンプなどを使った再生装置ができてい

たのですね。

 この父親がこだわったヴィンテージアンプというのは、どういうものであるの

か、回路図は真空管はオリジナルか復刻か、各種のパーツはどの時代のもので

あるのかと、いろいろと興味がわくことでありまして、そこのところだけ読んで

みたいことです。