ノンフィクション・コラム

 久しぶりに上原隆さんのコラム集を手にすることにです。

 今回入手したのは双葉文庫からでた「ひそかに胸にやどる悔いあり」です

が、元版は幻冬舎から2018年に刊行となった「こころ傷んでたえがたき日に」

で、これが双葉社に移籍して文庫からされ、それにあわせて加筆と改題されたと

今回の文庫には記されていました。

 上原さんは、市井の人の話を聞いて、それをコラムにするという手法で、文筆

活動を続けています。最近のテレビとかネットでは、このような手法のものが

見受けられますが、上原さんのコラムは、有名人が登場することはなく、ほんとに

地味な内容で、こんなんで商売になるのかと思ってしまうことです。

 決してメジャーではありませんが、このような渋いコラムには、渋い読者がつい

ているということが、この文庫本を開いてみるとわかります。

 本日は、収録のコラムのうちのいくつかを読んでみました。ノンフィクションと

あるのですから、氏名が公開されている人は、検索しましたら、その人にヒットす

ることになります。

 そうした人を取り上げたコラムのほうが例外ではあるのですが、本日は神社さん

という不思議な姓の男性を知ることになりです。この男性は1978年生まれで、

大学在学中にクローン病となって、それに苦しむことになるのですが、当方の知人

の息子さんがやはりクローン病で、何度も入退院を繰り返していたのを思いおこし

たことです。

 この神社さんのコラムでは、母親のこと語られるのですが、これを読んでいまし

たら、知人のことが重なってきましたです。知人の息子さんは、現在家庭をもって、

仕事も継続しているのですが、たぶん病気は落ち着いているのでありましょう。

 神社さんは、次のように語っています。

「当時の僕は自分のことで精一杯で、母の気持ちを考える余裕はなかったけど、

いま思うと、母は僕以上につらく、苦しかったのかもしれません。」

 このコラムを、クローン病の息子をもった知人に紹介すべきかどうか、ちょっと

迷っていることです。