本日の朝日新聞夕刊は、編集工房ノア 主人 涸沢純平さんが登場しての「編集
者をつくった本」の三回目でありました。
一回目は「編集者がつくった本」ということで、ノアから刊行された山田稔さん
の「北園町九十三番地」があがっていました。二回目は編集者をつくった本という
「金閣寺」は意外感がありましたが、これは小説の主人公が舞鶴の出身というこ
とで、涸沢さんにとっては、作品の力もですが、主人公の出身地が同じ舞鶴という
こともあってのとりあげでした。
そうして、今回が三回目でありますが、今回は「編集者をつくった本」という
ことで足立巻一さん「虹滅記」(1982年 朝日新聞社)があがっていました。
涸沢さんはこの本が刊行となったときには、ミニ出版社を始めていますので、すで
に編集者となっていたのですが、もちろんこれは足立巻一さんという人物に大きな
影響を受けて編集者となったということで、「虹滅記」でなくともよかったのかも
しれませんが、足立さんには良い本がたくさんありますが、元版が朝日新聞社から
でたものは、これだけですから、そのようなこともすこしは影響しているか。
このようにして取り上げたことによって、この「虹滅記」がどこかで復刊すれば、
それが涸沢さんの希望であるのかもしれません。
今回の涸沢さんの書き出しのところを引用です。
「敬愛する足立巻一(1985年没、享年72)の名著である。
足立さんは詩人でもあったが、やはり伝記作家である。だが歴史上の人物や他
者を題材にしたわけではない。一貫して自分とその周辺を書いた不思議な作家で
ある。・・・その到達点が、祖父・啓亭、父・菰川さらに『一族の数奇な運命を
辿』った本書である。」
このように書いているからして、朝日新聞社からでているからではなくて、到達
点であるからですね。「虹滅記」の紹介には「朝日文庫・品切れ」とあります。
これを何よりも残念に思っているのは違いありません。
さて、編集工房ノアからでているもののほか、品切れにならずに流通している
足立巻一さんの本は、どれだけあるのでしょう。