図書館から借りている本に「山に生きる」というのがあります。このタイトル
には「失われてゆく山暮らし、山仕事の記録」と添えられていました。
先日に話題とした名久井直子さんの本にあった製紙工場にも書かれていました
が、北海道は豊富な森林資源があることで各地に製紙工場ができました。
紙を作るために必要となるのは木材と水と電力でありまして、製紙業と山林は
セットでありました。
明治から戦前くらいまでには林業は盛んでありまして、当方が住んでいた田舎
では戦後であっても山仕事に従事している人は大勢いましたです。山にはいって
木の切り出しの仕事をしている人、山のなかで炭焼きをしている人などですが、
家が炭焼きをしているという子どもが同級生にいましたが、学校からうんと遠く
に住んでいたこともあって、あまり学校に通ってきていなかったように思います。
先日にお会いした方は、子どもの頃、電気のない山の中に住んでいて、家は炭
焼きの親方をしていたとのことでした。学校にあがるのにあわせて、市街地に移
り住んだとのことですが、これは今から半世紀ほど前の話であります。
ほとんど昭和の初めのような生活が東京オリンピックの頃まで続いていたことに
なります。
どっこいそうした暮らしは、現在にも続いているのですよというのが「山に生き
る」の内容であります。
若くて炭焼き親方に弟子入りした方は、やはり家族と一緒に山の中に住まって
いました。昔とくらべると軽トラックを使っていたり、自家発電などの設備があ
るのかもしれませんが、それでもここから子どもさんが学校に通うのは大変そう
です。
この炭焼きさんの次には、馬を使っての搬送をやっておられる方が紹介されて
いまして、これも子どもの頃によく目にした光景でありました。あちこちに馬を
祀った神社がありますが、車のない時代は、馬が頼りでありましたからね。