一冊読まなくては一冊買わないとか、一冊処分しなくては一冊買わないなん
て思ったりする人がいるようですが(大体の場合は、家庭内で収集への理解を
得ることができなくて、そのように思ったりです。)、その結果として本を
読むことができないというのだけが増幅するような状態に陥りますので、まあ
あまり無理はしないほうがいいようであります。
これは本を読まずに、せっせと確保している当方のいいわけであります。
このところでひろった本というと、次のものがあります。
後藤明生さんの「スケープゴート」という作品集となります。装幀は見ておわ
かりのように平野甲賀さんでして、版元は日本文芸社となります。刊行年は
1990年ですから、30年ほど前の本になりますね。
この時代に、当方はまだ後藤明生さんのものは、そんなに買っていなかったの
ですね。このような作品があることも知りませんでした。
版元の日本文芸社というのは、もともとは漫画雑誌をだすところでしたが、何を
間違ったか文芸出版を何年かやったのですね。そこのことは、かって話題にした
ことがありました。
vzf12576.hatenablog.com この本でも後藤明生さんのあとがきをまずは見ることになりです。
「久しぶりの作品集である。・・この作品集の性質は、折込付録の蓮實
重彦氏との対話『小説のディスクール』にいい尽くされている。それは
ほとんど、私の散文論、小説原理の総括だとさえいえる。しかしそれは
いわゆる『芸談』ではない。というより、ほとんどその反対のもので
ある。」
残念ながら、ひろった本には折込付録は入っていませんでしたので、
この蓮實さんとの対話は確認することができずでした。日本文芸社とい
えば、なんとなく蓮實さんのイメージが強かったのですが、一時期確保
するかどうか迷った金井美恵子さんの全短編もこの版元でありました。