大島からみかん本到着

 あけて2日となりですが、届いたのは昨日、年賀状が配達されてまもなく

のことでした。

 昨年に版元のみずのわさんから出版案内のメールがありまして、それには

早期に版元注文いただければ、特典つきですとありましたので、特典という

言葉に弱い当方は早速で注文の返信メールをしたものです。

 なんとか年内にはお届けしたいということですが、なにせ版元が所在する

周防大島から当地まではえらく遠いので、それは難しいかなと思っておりま

したら、郵政のレターパックプラスに入れられて大島をたったのが、大晦日

で、当地に着いたのは元旦でありますからして、郵政さんもずいぶんと頑張っ

てくれたものです。

 早々に発送してくれたみずのわ 柳原さんと郵政の連携プレーにも感謝し

なくてはです。年末から長期休暇にはいって、ほとんど世の中の役にたつよう

なことをしていない当方なのに、この時期にも休みなく働いている人のいる

ことを実感することです。

 ということで、レターパックから本を取り出し、手にしてみることになりで

す。

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本とみかんと子育てと 柳原一徳 みずのわ出版

 写真からもわかりますように、束の厚い本でありまして、671ページまであり

まして、これが二段組ですので、いったい文字数はどのくらいになるのかと思う

ことです。

 みずのわ 柳原さんが神戸から周防大島へと移りまして、出版と並行してみかん

農家を行うという不思議な兼業の日々を綴った日録(2017年9月〜2020年5月)が

メインで、それに柳原さんがみかん農家として思うことの文章が添えられていま

す。

 日本の農業については、もっと大規模で省力化しなくては国際競争力はつかない

し、国際競争力のない農業であればなくなってもいいというふうに思っている人

がいるのが、この国の現実です。

 戦後復興期からの高度成長期に農家の次男、三男が工場労働者となって、それを

支えたわけですが、そのまた次男、三男は職がなくなってリストラにあっても、す

でに帰るふるさとは失われているというふうになっています。

 柳原さんは、そんななか宮本常一さんとの縁もあって、祖父母が暮らしていて、

子どものころに遊びにいっていた周防大島へと本拠を移して、みかん農家を兼業

することになるのです。

 新自由主義の人からいわせれば、ばかじゃないかという転身であります。

この本の前書き(まだ、これしか読むことができておりません)で、柳原さんは

次のように書いています。

「日録に記述した内容は、新規就農で大規模経営を目指すとか、成功者になると

か、そういった前向きな話ではない。容量の悪い、やり手になれない、何をやっ

てもうまくいかない兼業農家の、連続する失敗の記録である。・・・いま流行り

のUIJターンとか起業とかの参考にもならない。読んだところで今すぐ何の役に

も立たない。ただ、読み手が自身に引込み、立ち止まって深く考える糸口の提示。

それが、今すぐに役にたたない、つまらない、不要不急として、時の権力者に

足蹴にされた人文学の人文学たる所以だ。」

 日録には、出版の本制作に関する記載はあるのですが、それよりもみかん農家

が置かれている現実のほうに教えられることが多いようであります。