片手にあまる

 やっとこさで「ブルース・チャトウィン伝」を読み始めることになりです。

 おしまいのページは885ページとなっていて、使っている用紙が薄いことも

あって厚さは抑えられていますが、それでも重さは680gもありまして、

片手で持って読むのがたいへんであります。これは横になって読むことはでき

ないかな。

ブルース・チャトウィン

ブルース・チャトウィン

 

  なんとか夏くらいまでには読み終えたいと思っているのですが、どうなりま

すでしょうね。なんといっても移り気でありまして、あれこれとすぐに目移り

してしまいますから。

 先週末からはパン作り、散歩とあわせて、すこし本を読みたいと思っていたの

ですが、パン作りは精勤で、散歩はまずまずで、本を読むのはもっとがんばりま

しょうであります。

 図書館から借りているイーユン・リーの「黄金の少年、エメラルドの少女」に

収録の短編を、一日一つくらい(ひとつ20ページくらいのもの)でありますの

で、これはお話になりませんです。

 イーユン・リーさんは1972年生まれとありますので、そろそろ50歳に手が届く

という中国生まれの方で、米国で作家活動をなさっています。山田稔さんが推薦

していることから手にするようになったものですが、なるほど山田さんがお好き

ということは、山田さんの作品が好きな人にもおすすめできるということですね。

 作品の舞台は、ほとんどが中国のまちをでありまして、中国の普通の人の暮らし

を描いています。訳者さんのあとがきには「基本的には悲しい筋書きが多いもの

の、物語を読んでいると著者の眼差しの暖かさがそこはかとなく感じられる。」

とありました。

 収録されている「獄」という作品については、次のように書いています。

「中国で代理母に生ませた双子の子供と一緒に写っている女性の写真を友人に

見せられ、彼女の状況に好奇心をそそられて書いた。結果として、新しい社会

問題に取り組んだ意欲的な作品が完成した。」

 「獄」という作品は、米国に移住した中国からの家族の一人娘が16歳で交通

事故で亡くなったことによって、40代後半となった夫婦が中国に戻って代理母

による出産を目指すというものです。代理母が無事に出産となるまで、実の母

はその女性との同居をして、それを監視することになるのですが、それを「獄」

といっているのです。こういう世界があるのだよなと思っていましたら、本日の

朝日新聞投書欄に次の見出しがありました。

代理出産で授かった三つ子の今」、埼玉にお住まいの67歳の女性が、米国に

いる代理母から生まれた三つ子が、今年は23歳となったそうで、代理母とは

親類同然の交流が続いており、三人にとってはいわば二人目の母で、昨年初め

には四人で渡米、代理母と一週間過ごしたとのことです。

 イーユン・リーさんは、「獄」とタイトルしたのですが、思わぬカミング

アウトにびっくりすることで、否定的なイメージで作品を読んだのでありますが、

文字通りでハッピーエンドになった話(女性は実名での投書です)に、これは

悲しい話ではありませんですね。こういうストリーの小説も読んでみたいもの

であります。

黄金の少年、エメラルドの少女 (河出文庫)

黄金の少年、エメラルドの少女 (河出文庫)