時代は変われども

 なかなかページを稼ぐことはできないのでありますが、図書館から借りて

いる「かくしてモスクワの夜はつくられ」をゆっくり読みながら、その合間に

岩波新書独ソ戦」のページを開くことになりです。

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

 

  「モスクワの夜」のほうはアメリカ生まれの主人公がヨーロッパを経て

ロシアに入国するのは1899年のことで、ロシア帝国の終わり頃のことです。

 この本には、その当時のロシアの立ち位置について、次のように書いてい

ます。

「1914年、ヨーロッパの列強諸国は、オーストリアハンガリーとドイツを盟主と

する中央同盟か、それに敵対するフランス、イギリス、ロシアの三国協商のいず

れかに絡めとられていた。」

 ということで、ロシア帝国は、この流れで世界大戦に入っていくのですが、その

途中で1917年ロシア革命となって、戦線離脱することになります。そのときには、

ウクライナ地域までドイツ中央同盟軍がはいりこんでいたとあります。

第一世界大戦は1918年に中央同盟軍の敗北で終結するのですが、ウクライナ

まで入り込んでいたドイツ軍と連合して革命軍と戦おうとするロシア白軍の動き

などもあって、とてもややこしいことであります。

 結局のところ、ロシアでは革命後の赤軍が、白軍プラス中央同盟軍を押し返す

ことになって赤軍がロシアを平定することになるのですが、この本の主人公は、

そうした騒動の中、ロシアからの脱出をはかるためにいまだ白軍が支配していた

ウクライナ地区のオデッサへと向かい、そこからトルコインスタンブールに脱出

することに成功します。

 第一次世界大戦のロシア国内での戦線は長い国境線に沿って構築されたの

でありますが、それから20数年後に、再びソビエトロシアとドイツは長い国境線に

沿った戦争が行われるのでありました。

 それにしても、一度ならず、二度までもであります。もちろん、気の毒なのは、

これに巻き込まれた人たちでありまして、大国のドイツとロシアに挟まれた地域

に存在した国家とユダヤの人にとっては悪夢の時代となりです。

 この流れで、次に手をだすのは、せっかく文庫を買ったのだから、これものぞい

てみようで、池内さんの著作ですね。

消えた国 追われた人々 (ちくま文庫)

消えた国 追われた人々 (ちくま文庫)