本日に野暮用から戻りましたら、岩波「図書」11月号が届いていました。
今月号には「作家の本質」という川村律文さんの文章が掲載になっています。
さてはて川村さんとはほとんど目にしたことがない名前だがと思ってみましたら、
読売新聞の記者さんとありました。そうしたとき、作家とはどなたかなであります。
この川村さんの文章の書き出しは次のようになっています。
「『月の満ち欠け』が直木賞を取ったら、岩波文庫に入れてくれるかな。
佐藤正午さんがこんなことを言っていたのは、2017年7月に佐世保で行った
取材を終えた後のことだったと思う。
この作品が第157回直木賞の候補に選ばれたことで、読売新聞文化部の記者
だった私は、受賞した際の記事を準備するために佐世保を訪れていた。
『(岩波)現代文庫だったら、ありかもしれませんね』
担当編集者の坂本政謙さんが苦笑いしながら返した。ジョークだと思ったの
だろう。」
これが先月に刊行となった「岩波文庫的 月の満ち欠け」の誕生話であります
かな。これの刊行予告が「図書」9月号に掲載となったとき、「岩波文庫的」という
のはどういうことかと不思議に思いました。
vzf12576.hatenablog.com その後に、この「岩波文庫的」についての種明かしが新聞報道などであった
のですが、残念なこと、いまだにこれの現物を手にすることができていました。
先日の関西では書店へといって手にするはずであったのですが、ほんとめった
にないことで。
岩波 坂本さんが言っているように佐藤さんの作品を岩波現代文庫で刊行
するというのは、直木賞がきまった直後(ということは、それ以前に企画されてい
たということで)に実現していました。
今回は岩波文庫的でありますから、ほとんど岩波文庫まがいのものがでたとなり
ます。買うことはなくとも、これは見てみたいもので。
それはさて、佐藤正午さんは編集者から好かれていることで、しかも担当の編集
者同士も仲が良さそうでうらやましいことであります。こういう作家さんであるから、
佐世保にこもっていても作家活動が続けられるのでありますね。