「図書」9月号届く

 本日外出から戻りましたら郵便で「図書」9月号が届いていました。

一番最初に見るのは、10月刊行予定であります。その一番最初に佐藤正午さん

の新刊告知があった。

 「岩波文庫的 月の満ち欠け」という本でA6版 416頁 10月4日刊だそう

です。「岩波文庫的」というのは、どういうことでありましょうか。「月の満ち欠け」と

いうのは直木賞を受けた作品でありますが、これをどのように処理したのかな。

岩波 坂本さんが手掛ける佐藤正午本であります。これは楽しみなこと。

 「図書」9月号の巻頭に置かれたのは伊東光晴さんによる「私にとっての加藤

周一」という文章です。これは何度も読み返してみることにしよう。

伊東光晴さんは1927年9月生まれですから、誕生日がきて92歳。当方が現在

読んでいる中村稔さん、小沢信男さんと同年であります。

 加藤周一さんは1919年9月19日生まれですので8歳年長か、というよりも今

年が生誕百年となるのですね。今回の伊東さんの文章は、その記念ともいえる

ものですから、当然力がはいったものです。

 書き出しは次のようになります。

「ほとんど1カ月をかけて鷲巣力さんの『加藤周一はいかにして加藤周一

なったか』の書評を書いた。」

 これは「毎日新聞」2018年12月16日の書評欄に掲載となった伊東さんによ

る書評のことです。鷲巣さんの本が出たのは、本の奥付によると2018年10月

5日ですから、ゆっくりといえば、ゆっくりです。

 書き出しは、次のように続きます。

「書評は、それを読んでくださる読者を考えながら書くことは勿論であるが、同時

に、著者との対話である。その本をもっともよく知っている人は、著者自身であり、

その人が何年もかけて書いた本を1カ月ぐらいで読んで対等に対話ができるはず

がない。その恐れを感じながら何回か書きなおした上で渡したのが、毎日新聞

載った一文である。」

 鷲巣さんの本の感想が、これに続くことになりますが、もちろんこれも興味深い

のでありまして、加藤さんのカトリック入信についての考察もなされていました。

 伊東さんの、この文章を何度か読んでから、鷲巣さんの本も手にしてみなくて

はですね。