「図書」9月号から

 岩波「図書」9月号が届いておりまして、まずは今月の新刊と来月の刊行予定に
目を通します。
 なんといっても、当方が巡回するこの町の新刊本屋には岩波文庫、新書が入荷し
ないのでありますから、岩波新刊を市内の店頭で手にするという可能性は限りなく
ゼロに近いのであります。最近の例外は、佐藤正午さんの「月の満ち欠け」だけで
ありまして、それも直木賞を受けたことによる特例措置のおかげでありました。
 今月の岩波文庫新刊には、カルヴィーノのものが一冊はいります。読むことがで
きなくても、これはどこかで購入することにいたしましょう。

 カルヴィーノ岩波文庫といえば、すでに何冊かはいっているのですが、やはり
「木登り男爵」を入れてもらいたいものです。白水社は、売れ筋はなかなか手放さ
ないかな。
 「図書」で一番の楽しみは、来月の刊行予定一覧でありますが、ここに注目の
一冊がありました。
 鷲巣力さんによる「加藤周一はいかにして『加藤周一』となったか」であります。
これには副題として「『羊の歌』を読みなおす」とありました。自伝風の小説(な
のでしょう)である「羊の歌」を、鷲巣さんがどのように読むのか、とても興味が
あることです。この本は、四六判544頁とありますので、かなりのボリュームに
なっています。値段がどのくらいになるのかですが、これは買わなくてはいけない
ことです。
 掲載されている文章にも興味深いものがたくさんありです。細見和之さんは、
ジョン・レノンプルードン」というのを寄せています。大阪文学学校の校長先
生である細見さんは、いつのまにか京都大学教授になっていましたです。