週末にむけて図書館から借りてきたのは、すこしでも読めそうなものと
しました。一冊は、昨日にちょっとさわりを話題とした池内紀さんのもので
「東海道ふたり旅」であります。
「道案内は広重」とありまして、広重「東海道五十三次」保永堂版に従って
折々に歩いて文章を綴ることになりです。昨年に当地の美術館でも「広重
五十三次展」がありまして、それを駆け足で見物したことを思いだしました。
昨年の展示の時に、はじめて広重五十三次にいくつかの版があることを
知ったのですが、先に記したとおり池内さんも保永堂版を基本にでありま
した。なんといっても人気の「雪の蒲原」は保永堂版でありますからね。
もう一冊借りたのは、荻原魚雷さんの新刊。
小説「すばる」に連載していたコラムを中心にまとめたものだそうです。この
雑誌手にしたことがありません。その昔は中間小説なんてことばがあって、そう
した作品が掲載されるのが「小説新潮」とか「オール読物」「小説現代」であっ
たのですが、いつの間にか姿を消してしまった雑誌もありました。
本日は、この本を手にしてなかをのぞくことになり。当方よりも二十歳近く年下
でありますが、若い頃からの古本者でありまして、相当にマイナーなものがお好き
なようであります。荻原さんのものなどを見ますと、当方もそれなりにマイナーな
ものを好んでいるが、それでもまだまだ修行が足りないことと思うことです。
本日に斜め読みをしていて、目にとまったくだりです。
「流行のサイクルは三十年という説がある。本も刊行されてから三十年くらい
経つと古本っぽさがほどよく出てくる。
今から三十年前、1980年代前半の空気を味わいたければ、当時の冬樹社の本
を読んでみるといい気がする。」
1980年代前半といえば、当方は何を読んでいただろうか、その中に冬樹社の
本なんてあったろうかと考えることです。ふっと頭に浮かんだのは川本三郎さんの
本でありましたが、これらはいかにも上に引用した荻原さんの文章にマッチするこ
となのに、残念ながら1977年から79年にかけてのものでありました。
80年代前半というか、70年代の終わりの雰囲気に川本三郎の冬樹社本という
のは同感でありますね。