先日に届いた「ちくま」3月号の新刊案内に掲載のものといえば、先日は
「柳田國男全集 別巻一 年譜」を話題としましたが、これ以外にも気に
なるものがありました。
それはちくま文庫の新刊であります。7冊の新刊のなかに、ひっそりとそれ
はのっていました。なぜ、この時期にこれが文庫にはいるのか、とっても不思
議でありまして、こういう新刊についてこそ、「ちくま」で取り上げてほしいのに
です。(「ちくま」では、刊行翌月に紹介文がでたりはするのですが、これにつ
いては来月もでないでしょう。)
それは柴田道子さんの「非差別部落の伝承と生活」となります。
まだ書影が間に合っていないようですが、3月9日には発売になるとのこと
です。柴田道子さんという、ほとんど忘れられたような作家の著作が、いきな
り文庫で登場というのには驚くばかりです。
この文庫本の説明には、次のようにあります。
「半世紀前に五十余の被差別部落、百人を超える人々から行った聞書集。
暮らしや民俗、差別との闘い。語りに込められた人々の思いとは。」
柴田道子さんは、1934年に生まれて、75年に41歳の若さで亡くなった方
ですが、「谷間の底から」とか、遺稿集となった「ひとすじの光」という著作が
残されました。
この文庫は半世紀前の聞き書きとなりますが、半世紀前に柴田さんが
聞き取りを行った人の、ほとんどは亡くなっているでしょう。この半世紀で何が
変わって、何が変わらないかと確認するためにも、これは読んでみなくはです。
そういえば、何年か前に(と思って日付を確認したら、もう十年も前か)に
柴田道子さんのことを話題としておりましたです。