この時点で図書館から借りている本は四冊となりです。
まったくページをめくっていないものもあり、まずはそれをすこしでものぞ
いてみなくてはです。ガルシア・マルケスの昨年にでた翻訳ですね。
ガルシア・マルケスはもともとはジャーナリストでありまして、岩波新書から
は「戒厳令下チリ潜入記」がでていました。
今回翻訳がでた「東欧を行く」は、1957年発表のものですから、ノーベル賞
作家となる25年も前のルポであります。
1980年代までは「東欧」というと、ワルシャワ条約機構というくくりがありま
してソビエト連邦と密接な関係にある国家が連なっていました。
先月に長谷川四郎さんが暮らした1960年のベルリンの話を読んだり、沼野
さんのポーランドものを手にしたせいもあって、今はほとんど姿を消したであろ
うワルシャワ条約機構の東欧のルポ(それもガルシア・マルケス)を読んでみた
いと思ったもの。
どちらかというと短いルポが多くて、これならページを稼ぐことができるか。
「支離滅裂なベルリン」というルポは、いまだベルリンの壁が建設されていない
時代の東西ベルリンの様子を記しています。本日は16ページほどのこの文章を
読むことにしましょう。
「現時点で戦争が起これば、ベルリンは二十分ももたないだろうと言われてい
る。だが戦争が起こらなくても、五十年、もしくは百年も経てば二つの体制の
どちらかが優位に立ち、二つのベルリンがひとつになって、そこは両体制から
無償で提供される商品が山のように積み上げられた化物じみた見本市と化す
にちがいない。」
マルケスは、五十年、もしくは百年と記しているのですが、現実はそんなに
時間はかからずで30年ほどで壁は崩壊したわけです。
過去にあった大戦で生まれた分裂国家は、ほとんど姿を消して、東アジアに
残るのみです。これもどこかの時点で、解消されるのかもしれませんが、その
一方で、あちこちで内戦が拡大して国家の体をなさなくなったところがあって、
その背景にあるのは、いまだに大戦後に分裂国家を生み出したのと同じ枠組
みであります。とはいっても、大戦時にはUSAと中華民国は連合国であったの
に、中華民国からかわった人民共和国は、ロシアと組んで反米の枠組みを一
層強固なものとしているようです。トランプのUSAが仲間を増やすことに成功
するとは思えないことですが、ほんと不思議な時代です。