先日の書店で

 先日にすこし待ち時間がありましたので、TSUTAYA系の古本をならべて

いる店で時間を過ごしました。何ヶ月かおきに巡回するのですが、あまり収穫

を得ることはないのですが、今回は珍しいものがありましたので、これはだぶり

であるのを承知で購入しました。

ぼくの早稲田時代

ぼくの早稲田時代

 

   川崎彰彦さんの本で、新刊で流通していると思われる数少ないものとなり

ます。もちろん、この本は刊行された時に購入し、一度読んでいるのですが、

こうして偶然にも自分の住む街で手にすることができて、これを機にすこしでも

読み返すことといたしましょう。どうせ、前に読んだのはほとんど忘れてしまって

いるのですから、初めて読むような感じとなるでしょう。

 当方にとって早稲田というのは地名としてしかお付き合いがなくて、ちょっと

歩いたことがあるのは古本屋街で、あとは三ノ輪から路面電車を乗車してそれ

の終点でありました。

 数年前に朝早い路面電車を利用して早稲田で降りてから、地下鉄の早稲田

駅へと移動するときに大学構内を横切ったのでありますが、当方はすこし野暮っ

たい服装に帽子で、リュックをしょって歩いていましたら、出口のところの門番の

おじさんに敬礼をしてもらうことになりましたです。徹夜明けで仕事場から出て

行く教員にでも思われたか、それともとりあえず礼をしておけばいいと思われた

か、このおかげで早稲田大学への好感度が高くなったのでありました。

 川崎さんの作品にも、このことが書かれていました。

「早稲田は校門のない大学として知られる。大隈講堂前の広場から広い数段の

階段をあがっていくところが正面入り口ではあったけれど、ここにも門はない。

 都電早稲田車庫側から大隈庭園の脇をはいる小路などキャンパスへの進入

路はいくつかあったけれど、そのいずれにも門らしいものはなかった。」

 川崎さんは、このように書いたあと、「内側の住人のこころには権威の門がそ

びえ立っているのであるらしかった。」と書くのでありますが。